研究課題/領域番号 |
19K03091
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研究機関 | 共立女子大学 |
研究代表者 |
谷田貝 雅典 共立女子大学, 文芸学部, 教授 (70469485)
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研究分担者 |
永岡 慶三 早稲田大学, 人間科学学術院, 名誉教授 (90127382)
米谷 雄介 香川大学, 創造工学部, 助教 (00735144)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 教育工学 / 情報科学 / 遠隔教育 / 遠隔共同研究 / 裸眼3D視線一致型テレビ会議システム / AI(人工知能) / VR(仮想現実) / COVID-19(新型コロナウイルス感染症) |
研究実績の概要 |
本研究は、近未来の国際間遠隔共同教育研究環境(Future Global Lab.)を具現化する試みである。「Future Global Lab.」の中核システムのうち、先行研究で開発した裸眼3D視線一致型テレビ会議システムおよび、新規導入したVRシステムを活用し、多様な遠隔共同研究や実践的遠隔教育を行った。得られた成果をもとに適宜、システムの最適化と改良を行った。また、学生間の遠隔共同研究を複数実施し、優秀な研究は学会で発表した。なお、年度末のCOVID-19(新型コロナウイルス感染症)の世界的感染拡大の影響により、国内外で急遽、オンライン教育が必須となった。この時勢を受け、本研究で得られた成果の内、現行で利用されている視線が合わないテレビ会議システム、本研究における裸眼3D視線一致型テレビ会議システム、および対面時の3つの環境における教育活動の比較評価研究の結果より、現行の視線が合わないテレビ会議システムを利用した遠隔教育を実施する際は、対面時に比べ、以下の注意点と対策があることを示す。 【現行のテレビ会議システムによる同時双方向オンライン遠隔教育実施時の注意点】 ●表示モニタが小さいほど疲労感が増す≫対策:受講者は画面サイズをなるべく大きくする。例えば、スマートフォンやタブレットなどの小型モニタの場合はHDMI接続でテレビ等の大画面に映す。 ●ゲイズアウエアネスが成立せず不自然感と疲労感が増す≫対策:発話者がどこを見ているのか再現できないことを補うために、発話者(特に座学の教授者)はモニタ画面に注視せず、発話時は意識してカメラを見るようにし、発話時のカメラ目線映像を視聴者に提示する。 ●対面に比べノンバーバルコミュニケーションが削がれ疲労感や飽きを喚起しやすい≫対策:意識的にオーバーアクション等で身振り手振りや表情表現を行い、削がれてしまうノンバーバルコミュニケーションを積極的に補うように行動する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
COVID-19の世界的感染拡大の影響により、いくつかの学会発表の機会が失われたほか、本年度の研究成果を受け年度末に、システム改修を行う予定であったが、実行することができなかったため、研究の進捗は当初の予定よりやや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
本研究計画に従い順次研究を遂行するとともに、得られた成果を迅速に社会に還元することを目指す。特に本研究では、次世代遠隔教育システムの開発と評価を目的としていることから、対面環境および現行のテレビ会議システムをはじめ各種現行遠隔教育システム利用環境との比較評価研究も行っている。従って、COVID-19(新型コロナウイルス感染症)の世界的感染拡大により、国内外の教育界では半ば強制的にオンラインによる遠隔教育が実施された現状を重く受け止め、本研究課題に付随する、現行遠隔教育システム利用時の以下の課題についても早急に取り組む。 ●オンラインによる遠隔教育のメリットとデメリットの明確化と、これらを理解して効果的に遠隔教育を実践する方略の公開 ●現行遠隔教育システムにおける学習阻害要因の明確化と、これを補完する方術、および汎用的な補助システムや器具の開発と公開 ●システム等に不慣れでも効果的に遠隔教育を実施できる方術、および汎用的に導入できる支援ソフトウエアシステムの開発と公開
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次年度使用額が生じた理由 |
世界におけるCOVID19感染拡大を受け、2-3月に予定していたシステム改修が実行できなかったことと、2-3月に予定していた研究成果発表がオンライン等に切り替わり、出張旅費がかからなかったため。
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