研究課題/領域番号 |
19K03100
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研究機関 | 仁愛女子短期大学 |
研究代表者 |
田中 洋一 仁愛女子短期大学, 生活科学学科, 教授 (20340036)
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研究分担者 |
山川 修 福井県立大学, 学術教養センター, 教授 (90230325)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 心理的安全性 / 心理尺度 / Instructional Design |
研究実績の概要 |
人材開発や組織論におけるGoogleやエドモンドソンの研究結果によると、成功するチームの構築に最も重要なものは心理的安全性である。高等教育における深いアクティブラーニングを設計するためにも心理的安全性が重要なことを明らかにしたい。そのため本研究では、日本の高等教育用心理的安全性尺度の作成を目的としている。2019年度は、下記3つの研究方針のもと、実績を得た。 (1)心理的に安全な場を構築するための教授方法の調査:組織論等の論文をサーベイすると共に、アメリカATD(人材開発協会)カンファレンスの参加報告、チームコーチング、マインドフルネス、ラボラトリー体験学習、Tグループ、センサリーアウェアネス、NVC、U理論等の関連する研修へ実際に参加して調査を行った。 (2)既存の心理的安全性尺度の課題分析:エドモンドソンが作成したアメリカの企業人向け尺度、オンラインでの学習共同体尺度等を学生に実施・分析して、既存尺度の問題点を洗い出した。 (3)研究成果の発表:国内の学会(日本教育工学会、教育システム情報学会等)において研究成果の発表を行い、心理的安全性の議論を深めた。特に、教育システム情報学会全国大会では、対話に関する企画セッション及びプレカンファレンスのオーガナイザを務め、多様な方からの意見を集約できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新型コロナの影響により、年度末に実施する予定だった心理尺度調査及び半構造化インタビューが行えなかったが、それ以外は予定どおり進展している。特に、心理的に安全な場を構築するための教授方法の調査では、海外での国際会議に参加しなかった分、多様な研修に参加することができ、予定以上に調査分析が進んだ。また、研究計画では予定していなかったウェアラブルセンサーによる集中度等のデータ収集や分析も実施し、計画以上に進展している面も多い。
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今後の研究の推進方策 |
2020年度は、下記3つの研究方針のもと、本研究を推進する。 (1)心理的に安全な場を構築するための教授方法の体系化:アイスブレイク、経験学習サイクル、リフレクション、フィードバック、マインドフルネス、NVC、プロセスエデュケーション等の効果を測定する。 (2)心理的に安全な場を設計するチェックリストの作成:教師がファシリテータとしてチームに参加するか、ビデオ分析の実施により、心理的に安全な場を確認し、場の設計のためのチェックリストを作成する。ただし、新型コロナへの対策により、予定が変更される場合がありえる。 (3)本研究成果の発表:国内の学会(日本教育工学会、教育システム情報学会等)において、本研究の成果を発表する。今年度も教育システム情報学会全国大会にて、企画セッション及びプレカンファレンスを実施するため、インタビュー等も実施したい。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた大きな理由は下記の2点である。 旅費において残金が生じた理由は、新型コロナの影響により、年度末に予定していた国際会議、国内学会、研修等へ参加できなかったためである。 物品費において残金が生じた理由は、年度末にパソコン等の購入を計画していたが、新型コロナの影響により流通が滞り、2020年度初めに購入することに変更したためである。
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