研究課題/領域番号 |
19K03101
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研究機関 | 京都経済短期大学 |
研究代表者 |
森崎 巧一 京都経済短期大学, 経営情報学科, 教授 (30405724)
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研究分担者 |
郭 潔蓉 東京未来大学, モチベーション行動科学部, 教授 (70601326)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 印象評価 / 印象語 / サブカルチャー・コンテンツ |
研究実績の概要 |
本研究は、異なる文化的感性を持つ各国の人々の感性的な評価(印象評価)に着目し、日本のコンテンツ(サブカルチャーコンテンツ)に対する印象評価の共通点や相違点を見出し、より円滑な国際文化交流に貢献するツールの開発を目的としている。 今年度は、2種類の異なる内容で研究を進めた。1つ目は、広く人々に親しまれていると思われるサブカルチャー・コンテンツの利用に関する調査と確認を行った。著名な作家のサブカルチャー・コンテンツを活用するために、いくつかのプロダクション会社に問い合わせや交渉を行い、一部の知名度のあるサブカルチャー・コンテンツの利用許可を得た。次に、WEBを用いたオンラインでのアンケート調査にコンテンツの画像を利用可能かどうか、公益社団法人著作権センター及び専門弁護士等に著作権利用の確認を行った。2つ目は、日本の代表的なサブカルチャー・コンテンツ(漫画・アニメ等)を対象に、印象語(まずは日本語の形容詞のみ)の収集調査を行うためのツールの開発を行った。PHPとMySQLを活用し、相当多数のデータでも収集・保存できる印象語アンケートWebアプリケーションを構築した。画面はHTMLとCSSを活用してPC・スマートフォンのどちらでも利用しやすいデザインとし、データの集計やダウンロード等が可能な管理画面も作成した。このアンケートツールを使用して実験的に日本国内の大学生および短大生約60名を対象に印象語収集アンケートを実施し、データ収集を行った。回収したデータには印象語やコンテンツ情報などに偏りがみられるため、被験者の幅を拡張し、より多くのデータを収集していくことが課題である。 当初本研究の1年目は「印象語調査と印象語データベース構築」および「印象評価データ収集調査と印象評価データベース構築」を予定したが、後者は未完成なので、次年度に引き続き開発を行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
印象語収集のための印象語データベースとWEBアンケートツールの開発に多くの時間をかけた。その理由として、これまでの教育用として開発してきたアンケートツールとは異なる仕様変更があり、その検討に大幅な時間をかけ、丁寧に開発する必要があった。印象語データベースは、PHPとMySQLにより本格的なデータベースシステムを用いて作成した。印象語データベースは、相当大量のデータでも保存でき、様々な集計を行うことができるようにした。例えば、管理者の画面で、収集したアンケートの状況を一覧でき、アンケートデータをソートして並べ、どの用語が多いかを分かりやすく示すことができる。また、集計データはCSVでダウンロードすることができる。WEBアンケートツールは、パソコンでもスマホでも見られるよう、レスポンシブデザインを採用し、HTMLとCSSを用いて、なるべくシンプルなデザインで作成した。そして、WEBアンケートツールや本研究の進捗等を紹介するホームページも作成した。 印象評価アンケートに使用するサブカルチャー・コンテンツ(アニメや漫画等)については、複数のプロダクション会社から利用許可を得る必要があったことと、コンテンツの利用に関して、利用可能な範囲や利用方法の制限等について、公益社団法人著作権センター及び著作権法に詳しい弁護士からへの確認や助言をもらうことが研究を遂行する上で重要であったため、多くの時間を費やす結果となった。特に、紙面とWEBアンケートでは引用の扱いが異なるため、より丁寧な確認作業が必要であった。さらに新型コロナウイルス感染拡大も重なって、予定をしていた留学生や海外の高等教育機関におけるアンケート調査を実施することが困難な状況となり、作業に遅れが生じてしまった。
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今後の研究の推進方策 |
本年度開発したツールにより印象語収集アンケートは実施可能であるが、今後はアンケートツールの多言語化を予定している。共同研究者との検討の結果、日本語で集められた印象語を各国の言語に翻訳するのではなく、それぞれの言語で印象語を集めていくところから調査をする方が良いと意見が多かったため、各言語で印象語を収集することにした。アンケートではデザインを変えず、説明文だけ翻訳して用いることにする(そのため、アンケートツールのデザインは敢えてシンプルに作成した)。これまで開発してきた印象評価アンケートツールは、端末によって印象評価語やスケールが崩れてしまう(改行されるなどして見づらくなる)ことがあったので、それを改善する。さらに、画像解析ツールでは、アニメや漫画等のサブカルチャーコンテンツに適した解析法の導入を検討している。例えば、キャラクターの輪郭線、キャラクターの色、キャラクターのシルエットなどが分析しやすいツールの開発を検討している。解析で扱いやすいよう、アンケートで利用するキャラクターについて、ある程度絞り込んで選出していく必要がある。 上記のツール開発と同時進行で、アンケート収集に関する被験者の選出や依頼を進めておく必要がある。スムーズに印象語収集、および印象評価のアンケート調査を行うためには、アンケート先との連携が重要であるため、その開拓を随時行っていく計画ではあるが、コロナウイルス感染の今後の状況に左右される可能性が高い事が危惧される。そのため、予定していた計画よりもオンラインでのアンケートに時間がかかることが懸案事項となっている。特に教育機関に閉鎖の要請が出ているため、学生(日本国内・国外)のアンケートデータの回収には時間が掛かることが予想される。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度、PC等のハードウェアの購入について、購入希望時期に手に入らなく、次年度に回すことにした。そして、研究協力者への開発費についても、本年度開発予定であったツール(「印象評価アンケートツール」「印象評価データベース」等)が未完成であったため、次年度にツール完成段階で支払うことにした。機材の購入(郭先生のアンケート用)アンケートに関連する著作権の確認に時間がかかった。また、Webアンケートにおけるコンテンツ使用に関する著作権の確認が複数個所に亘ったため、想定以上に時間が掛かかり、アンケート調査用の機材の購入を次年度に見送った。やろうとしていた次期にコロナウイルスの問題があったので、被験者にアクセスするのが困難だった。計画していたアンケート調査時期がちょうどコロナウイルス感染の拡大と重なり、検討していた調査先に接触することが困難となったため、被験者へのアクセスに至らなかったことが計画の後ろ倒しの大きな要因となっている。 次年度では、他言語の印象語収集アンケート、および印象評価アンケートで必要となるアンケート調査費用を十分に検討する必要がある。また、調査のためのタブレットやモバイルPC等の端末も必要になる。さらに、研究協力者の一人を研究分担者に迎え、より深く本研究に加わって頂く予定であり、ツール開発に必要なPC等の機材の購入が検討されている。
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