研究課題/領域番号 |
19K03105
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
種村 剛 北海道大学, 高等教育推進機構, 特任准教授 (20759740)
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研究分担者 |
三上 直之 北海道大学, 高等教育推進機構, 准教授 (00422014)
古澤 輝由 立教大学, 理学部, 特任准教授 (50814919)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 科学技術コミュニケーション / 演劇 / 教育 / 市民参加 |
研究実績の概要 |
【具体的内容】最終年度(2021年度)に2回、研究期間全体(2019年度から21年度)を通じて合計5回(2019年度:2回、2021年度:1回)、演劇を用いた科学技術コミュニケーション実践を行った。内容は、ICTとビッグデータを用いた健康管理機器の実装、認知症予防のためのブレイン・マシン・インターフェースの開発、接触確認アプリ(COCOA)の社会実装、ヒト受精卵へのゲノム編集、ジーンドライブによる害虫の根絶である。これら主題の共通点は、新規科学技術の社会実装に伴う倫理的・法的・社会的課題(ELSI)を扱っている点である。各実践において、演劇制作・実施対象者への参与観察、聞き取り調査、およびワークショップ参加者に対するアンケート調査を行った。2019年の演劇実践の録画は高等学校の探究の授業で使われた。これは図らずしも演劇実践が第6期科学技術・イノベーション基本計画におけるSTEAM教材として利用されていることを示している。 【意義、重要性】5回の実践を通じて、科学技術コミュニケーションに演劇を用いることで、科学技術のメリットデメリットを伝えるだけではなく、それぞれのステークホルダーの価値観や社会的立場などの「コンテクスト(文脈)」の違いを含んだ情報提供および市民対話が可能になることが明らかになった。教育効果として、演劇制作に携わった者が、当該の科学技術の内容理解を深めたり、異なる他者の価値観を想像し意見を擦り合わせることの重要性に気づいたりすることがわかった。演劇制作の参与観察を通じて、これらの教育効果は、演劇の制作過程における脚本作り、演劇の稽古の過程における役者同士の対話・議論といった、書き言葉・話し言葉のやりとりから生じることが明らかとなった。これらは演劇制作にかかわる熟議の過程においてELSIのとりわけ、社会的課題の構築についての所見を与える点において、意義がある。
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備考 |
2021年度に作成した演劇動画をyoutubを用いて公開したもの。
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