研究課題/領域番号 |
19K03110
|
研究機関 | 埼玉大学 |
研究代表者 |
山本 利一 埼玉大学, 教育学部, 教授 (80334142)
|
研究分担者 |
荻窪 光慈 埼玉大学, 教育学部, 准教授 (00431726)
森山 潤 兵庫教育大学, 学校教育研究科, 教授 (40303482)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
キーワード | 地熱発電 / エネルギー変換 / エネルギー教育 / 再生可能エネルギー |
研究実績の概要 |
2020度は,昨年度開発した地熱発電装置とは全く異なる方式の新たな装置の開発を行った。地熱の熱源から水蒸気を取り出すのではなく,熱のみを取り出すために熱伝導管(銅製)を用いて,温度差を生じさせペルチェ素子を元に発電を行うものである。冷却部には空冷の,フィンを取り付けている。汎用性を出すために,冷却装置はCPUクーラーを用いて,学校現場でも再現しやすいよう工夫が凝らされている。本装置に関しては,知財手続きを行い,実用新案を所得している。 高温部と低温部の接合に関しては,熱の移動を適切に行うことと,高温部には低温部の熱がバイパスとして伝わらない工夫がなされている。この接合部の固定は,熱伝導の低い素材を組み入れることで,課題を解決している。 これら開発した装置を活用した授業を,公立中学校の教諭らと協議を行い,2021年度前期に実施する予定で研究を進めている。2021年度から,中学校では新学習指導要領が完全実施されることを踏まえて,年間指導計画の中にこれらの学習内容を組み入れたカリキュラムを構想・作成することが出来た。 昨年度開発した地熱発電装置の開発と,それらを用いた中学校技術・家庭科(技術分野)での授業実践を実施,日本産業技術教育学会全国大会,国際会議で提案を行い評価を受けた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2019年度には,発電原理を学習する地熱発電装置の設計・開発を行い,これらを用いた授業実践が終了したこと。また,2020年度は,全く新しい原理を用いた地熱発電装置の設計・開発を行い,知的財産権を獲得することが出来た。 コロナ感染症拡大防止の観点から,中学校現場の教員とは,オンラインを活用した形で,具体的な授業実践の在り方を検討すると共に,カリキュラムを作成できたことが主な評価の観点である。 当初,課題であった地熱の熱源から,熱のみを取り出す装置(熱伝導)の開発は,困難が想定されたが,銅製パイプに熱で物質を注入することで,熱伝導管が作成され,適切な温度差を発生することに成功した。ペルチェ素子に冷却部として,CPUクーラーを用いることで,製作時間を大幅に削減できるなどの改善が見られたことも評価の対象である。 また,本研究内容を国際会議で発表を行い,論文投稿を行った。現在査読中であり,これらの成果を公開できる準備が整いつつある。
|
今後の研究の推進方策 |
2021年度は,これら2つの地熱発電装置を活用した,中学校技術・家庭科(技術分野)での授業実践を通して,カリキュラム,指導過程,装置の評価を行いたい。公立中学校での実践を予定しており,それらの調整を中学校技術・家庭科(技術分野)担当教員と協議を進めている。 また,装置の高効率化に関して,専門家からの意見を参考に,可能な範囲で装置の改良を進めていきたい。熱源の発生方法には,IHを活用することで安全性を向上させることや,それらの温度測定を非接触型温度計を活用するなど,実際の中学校現場で利用しやすい装置として改良していきたい。 これまでの研究内容を,日本産業技術教育学会,日本機械学会,日本教材学会などの教育系学会や,国際会議として,DATTAや昨年度延期となったICBTT/TS に発表,提案したい。また,そこで,様々な観点から地熱発電装置,カリキュラム,指導過程に関して評価を受けたいと考えている。
|
次年度使用額が生じた理由 |
コロナウイルス感染拡大のため2つの国際会議が中止,延期となったため。
|