研究課題/領域番号 |
19K03117
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研究機関 | 滋賀大学 |
研究代表者 |
大山 政光 滋賀大学, 教育学系, 准教授 (80332716)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 月の満ち欠け / 空間認識 / みかけの形 / 天文分野 / 球 / 中等 / 初等 |
研究実績の概要 |
小中学校の天文分野の理解度を向上させるには、三次元や球体などを把握する空間認識能力を高めていく必要がある。2022年度も新型コロナの影響で大規模な調査を実施できなかったため、理科専攻の大学生に対し、調査①月の満ち欠けに該当する月の調査(潜在意識調査)、調査②左右の半分で色分けした球の見え方(視点取得)、調査③左右の半分で色分けした球の見え方(心的回転)、調査④空間認識に関する問題(切断面、展開図、平面内回転図)を実施した。調査②③④は同時に行い、調査①はその1週前に実施した。 調査①では、被験者の約30%が実際に該当する‘月のみかけの形’を該当しないと選択し、一方で‘実際には該当しない形’を半数が該当すると選択していた。選択された該当しない月は、実際の月を観察した際に認識されやすい形と、観察でもありえない形に分けられる。観察でもありえない形を被験者の15-20%が選択していた。これらの結果から、小・中学校において実際の月の観察と教室での模擬観察の両方を確認ポイントを明確化しながら観察させることが重要であると言える。 調査②では、色分けした球を8方位の手前から135度ずれた地点からの見え方に関する問題を行い、誤答率が50%であった。選択された誤答では、色の左右違いが誤答者中約40%であった。色の境目が実際にはありえない形を選択している被験者においては、調査①で同じ形を月の満ち欠けでは‘該当しない’と回答し、その回答に‘少し自信あり’を選択していた。調査③でも同様な結果であった。この結果は、月を球体と認識されていない、もしくは、球体を3次元的に把握する際と月の潜在意識とが相互に活用されていない可能性がある。 調査④では平面内回転図の正答率が低いものの、月の満ち欠けの理解度と関係するかどうかは分からなかった。今回の調査では被験者数が少ないため、今後多く被験者に対しての調査が必要である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナの影響で少人数への調査しか実施できておらず、傾向が捉えずらい点にある。そのため、傾向を踏まえた次の段階の調査内容の検討・実施がやや遅れている。一方で、2021年度, 2022年度の調査で初等・中等の月の満ち欠けでは、理解度の他に『潜在意識』が重要な要素であることが見えてきたことは評価できる。
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今後の研究の推進方策 |
空間認識能力向上のためのプログラムを検討するためには、大人の球体や空間認識能力の傾向を把握する必要がある。そのため、2023年度は、理科専攻以外の学生も含め大人数に対し球体や空間認識力に関する調査、潜在意識に関する調査を実施し、傾向の把握を行う。その調査傾向をもとに、空間認識能力向上のためのプログラムを検討し、有効性の調査を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
2020年度から新型コロナの影響により、小規模な調査しか実施できなかったため、研究期間を延期して実施しているため。
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