研究課題/領域番号 |
19K03120
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研究機関 | 福島県立医科大学 |
研究代表者 |
後藤 あや 福島県立医科大学, 公私立大学の部局等, 教授 (00347212)
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研究分担者 |
熊谷 敦史 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 高度被ばく医療センター 被ばく医療部, グループリーダー(任常) (40448494) [辞退]
村上 道夫 大阪大学, 感染症総合教育研究拠点, 特任教授(常勤) (50509932)
植田 紀美子 関西大学, 人間健康学部, 教授 (60538081)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | ヘルスリテラシー / 母子保健 |
研究実績の概要 |
本研究は学童期の親子を対象に、ヘルスリテラシー(健康情報を理解して使う力)の向上を目指し、親から子どもへ健康の維持向上に関する情報がどのように伝わり個人化(健康情報を自分のこととして受け止める)されるのか、その伝達のメカニズムを明らかにすることを目的とする。対象は健常児および障がい児とし、障がいの有無にかかわらず、子ども達が主体的に健康について考えて行動できるヘルスリテラシーの向上を最終目標とする。この研究の成果は、子どもが自らの健康をコントロールする力をつけるための健康教育に関わる、人材の育成や教材の開発への応用につながることが期待される。 3年次の成果は以下の4点である。 1. 前年度までに開発した絵画の分析手法を、学会発表した。子どもの食事についての絵を、食品、色、形に区分して数量化した上で、量的に分析することができた。子どもは主に家庭、外食、弁当に区分して食事を意識していることが示唆された。 2. 1の成果に、さらに絵画データを加えて分析し、論文を作成。 3. 大学生における健康情報の提示の仕方の違いにより生じるリスク認知の違いについて、既存のデータ分析を行い、学会発表し、論文を作成。ピクトグラムは一般的な図に比較して学生に好まれ、ヘルスリテラシーレベルが低い傾向の場合にも信頼され、より正確なリスク認知につながっていることが示唆された。 4. 障がい児の親を対象とした子どもとのコミュニケーションに関する冊子の作成を、対象者参加型で実施。主なポイントとして、子どもからのコミュニケーションのきっかけを見逃さずに応えること、生活リズムを整えること、特定の大人と愛着関係をきずくこと、しっかり遊ぶこと、しっかり食べること、そして聴く構えを育てることについて解説した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
COVID-19蔓延の状況を踏まえて、初年度からフィールド活動を最小限にとどめた研究内容に変更している。初年度には基礎資料を収集して、研究の基盤となる理論や実践的な成果物のイメージをメンバー間で検討した。その検討結果に基づき、2年次は学童の絵画の既存資料を用いて、数量データ化と栄養学的視点から分析する手法を開発した。3年次は、健常児の絵画データを追加して論文作成をはじめた。当初想定した対象年齢よりは高くなるが、健康行動が自立している大学生において、健康情報の提示方法とリスク認知の関連について分析する研究も追加した。障がい児については、直接児を対象とした外来での調査の実施はCOVID-19の蔓延により難しかったため、保護者と協力して児とのコミュニケーションに関する冊子を参加型で作成する試みを始めた。フィールド活動は制限されているが、当初の目的に沿った研究は実施することができている。
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今後の研究の推進方策 |
延長を申請した最終年度(4年次)は成果公表を行う。 1. 小学生(主に健常児)の絵画のデータの分析結果を論文投稿。 2. 健康情報の提示方法とリスク認知の関連について分析した結果の論文掲載。 3. 障がい児と親のコミュニケーションについての冊子を印刷・配布。
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次年度使用額が生じた理由 |
COVID-19によりフィールド活動が制限され、全体的に支出が予定より少なくなった。 来年度に持ち越した金額は、成果公表(論文掲載、冊子印刷等)に使用予定である。
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