研究実績の概要 |
幼児教育における論理教育については,幼児期は論理語(not, and, or)が重要であり,推論の連鎖を利用することで論理的思考力の基礎を育成できることが先行研究からわかった。これらの知見をもとに幼稚園年長を対象に全6時間の「プログラミングあそび」として教育実践をおこない子どもの行動の様子の見取り,作品のでき具合などを評価し教育内容・方法の妥当性を検証して論理カリキュラムを提案した。教材として、①アンプラグド型(歯みがき,ダンス,虫取り),②ソフトウェア型(SCRATCH JRでアニメーション作成, VISCUITで水族館つくり)③ロボット型(LEGOで自動扇風機つくり, MESHで魔法のぼうしつくり)である。特に「VISCUITで水族館つくり」は各クラスで水族館をつくり,それを記録した動画を展覧会で展示し子ども保護者とも楽しく鑑賞していた。 本研究での統括として,論理的思考力を高めることができるプログラミング的思考を活かした各発達段階に適した論理教育の教材開発を目指した。研究の結果,幼児・小学生・中学生を対象に論理的思考力が高められる教育内容・方法の開発に関する一方法を見出した。具体的には、構造方程式モデルを利用した認識調査の分析,中学生の論証嫌いへの改善策,幼・小で有効なプログラミング教材の選定である。 今後の課題として,論理的思考力について従来の日常論理と数学論理を結びつける演繹論理を中心とした論理のみならず、拡張的な推論(帰納推論,アブダクション,データ科学推論)を取り入れたAI時代の論理に対応した新たな論理的思考力についての研究も進めていく必要がある。
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