研究実績の概要 |
2021年度は札幌文化芸術交流センターSCARTS においてリサイクルに関するアート思考のワークショップを開発し、その中での参加者を質的分析を行い、その成果を展示として公開した。本実践は、2020年度、2021年度の2年間かけて実践してきSTEAMワークショップである。 本実践から下記のようにアート的な要素を付け加えるSTEAM教育においては、上流工程における思考の拡張についての効果があると規定し、知識以外の複合的な要素を組み合わせた思考という部分から見ていこうと考えている。 具体的にはマルチモーダル思考という視点である。マルチモーダル思考とは感覚や経験、知識など複数の状態を組み合わせて思考する状態である。科学教育においては近年着目されており、経験や視覚的イメージも科学の世界の理解に効果的だと指摘されている。子供の視点はマルチモーダル、視覚的、言語的双方を組み合わせて理解しているため、学習はマルチモーダル的視点を取り入れる必要がある [Kress, 2001]。AustraliaのPrimary Connectionというカリキュラムでは言語的、視覚的活動を取り入れながら、科学教育を実施している [Tytler R. , 2005]。その背景に科学的概念の表現の仕方が多様であればあるほど、学生は自分なりの表現で理解しているからだという [Tytler, Prain, Hubber, & Waldrip, (Eds.), 2013]。 本研究では、2020年度に行ったワークショップの思考過程をこのマルチモーダルな観点から検証していった。その結果、短期の間に、アーティストが用いる整理法を活用すれば、高校生にとってもマルチモーダル思考が実践できるということが分かった。今後は本分析結果を研究論文として発表する。
|