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2021 年度 実施状況報告書

放電ランプを使った新しい光電効果実験教材の開発とその実用化に向けた研究

研究課題

研究課題/領域番号 19K03137
研究機関埼玉大学

研究代表者

大向 隆三  埼玉大学, 教育学部, 教授 (40359089)

研究分担者 近藤 一史  埼玉大学, 教育学部, 教授 (40178421)
研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2023-03-31
キーワード放電ランプ / 光電効果 / 仕事関数
研究実績の概要

今年度はまず、前年度に成功したユウロピウムの仕事関数測定に関して、追実験を行った。実験機器、実験方法、解析方法は同じにしてデータを再測定し、同様の結果がえられるかどうかを確認した。その結果、放電ランプに印加する範囲100Vから600Vまで100Vごとの電圧値において、ユウロピウムの仕事関数は誤差の範囲で前年度の結果に一致する値が得られた。この事実から、放電ランプ陰極中に含まれたユウロピウムの仕事関数を特定できたと判断した。ここで得た値は既に報告された他の実験による値とも誤差の範囲で一致しており、我々の新しい仕事関数測定法の汎用性が確認できたと言える。
次に、実験データ取得の利便性を向上させ、あわせて仕事関数の測定精度も向上させることを狙い、光電効果信号のデータ取り込み方法を改善した。従来はデジタルマルチメータに表示される値を読み込み、限られた個数のデータを手入力で表計算ソフトに入力して仕事関数を算出していた。今回はこれを、デジタルストレージオシロで光電効果信号をモニターしながら保存する方法に改めた。これにより、多数(1000個以上)のデータをパソコンへ保存し、それらのデータを表計算ソフトで読み込み、統計処理(平均値算出、平均二乗誤差計算)を行わせることができる。この改善によりデータ表示、記録、解析を一連の流れで進められるようになり、実験の操作性が格段に向上した。この方法を用いた結果、決定できた仕事関数の値は、従来の方法から得た値と誤差の範囲で一致した。入射光波長ごとの光電効果信号強度の誤差は今回の方法での測定結果が10倍以上良くなったが、量子効率を勘案したモデルを用いていることによる誤差が仕事関数の誤差を制限しているとわかった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

我々が提案してきた放電ランプを用いた仕事関数測定法に関して、汎用性確認に関する研究は順調に進んだが、測定の高精度化に関する研究は半導体デバイスの納品に予定以上の時間を要したため遅れてしまった。研究途中での改良(デジタル機器を用いたデータ保存)については、当初の予定に組んでいなかったが前述の遅れにより生じた時間を有効に活用でき、かつ、新しい知見が得られた。

今後の研究の推進方策

新規に購入した半導体デバイスを用いて、仕事関数の高精度化に挑む。これには光電効果信号そのものの強度増大が有効だと考えられるので、それがどの程度達成されるかを実験で明らかにする。必要に応じて他の有効な方法(信号処理、光学配置)についても併用し、本研究課題の目的である物理実験教材化にアプローチしたい。

次年度使用額が生じた理由

高精度に仕事関数を測定できる物理実験教材を開発する過程において、金属表面へ照射する光の高パワー化が求められたが、それに必要な半導体デバイスの入手に予定よりも時間を要してしまい、当初の計画通り研究を進めることができなかった。この遅延の原因は世界的な半導体の不足に起因するものである。当該デバイスは既に納品されたので、次年度には当初の計画に即した研究を進めるつもりであり、この度生じた次年度使用額はその遂行に必要な様々な電子部品、光学部品、固定具等の購入に使用する計画としている。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2022

すべて 雑誌論文 (1件) (うちオープンアクセス 1件)

  • [雑誌論文] 冷却法による比熱測定方法の改善2022

    • 著者名/発表者名
      古矢善人、島田直純、大向隆三
    • 雑誌名

      埼玉大学紀要(教育学部)

      巻: 71 ページ: 305-313

    • オープンアクセス

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公開日: 2022-12-28  

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