研究課題/領域番号 |
19K03139
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研究機関 | 東京学芸大学 |
研究代表者 |
小川 治雄 東京学芸大学, 教育学部, 名誉教授 (10134769)
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研究分担者 |
生尾 光 東京学芸大学, 教育学部, 准教授 (50159589)
吉永 裕介 東京学芸大学, 教育学部, 准教授 (60322848)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 教師教育 / 化学 / 実験学習プログラム / 反応速度 / 燃料電池 / 磁性 |
研究実績の概要 |
本研究は教師教育を目的とした研修プログラムとしての実験学習プログラムを作成するものである。プログラムは,基本的な化学概念を基に,科学概念を形成する3つの思考レベル{実験・観察レベル(マクロレベル)⇔記号レベル(記号&式レベル)⇔分子レベル(ミクロレベル)}を統合して一体化した設計となる。これにより教師が科学的思考の統合的なイメージを持って積極的に生徒実験の指導に取り組めるようになる。結果として,化学概念・知識・技能のより一層の定着がなされ,それらの結びつきを明瞭にして指導が行えるようになる。統合的な科学的イメージを持っての積極的な姿勢・取り組みは学習者に反映され,科学の方法論に基づく姿勢で学習が行われ,より一層の概念・知識・技能の積極的な取り込み定着がなされる。教師は科学的思考の統合的なイメージを持って授業計画を着実に組立てることができるようになる。 初年度は,物理化学を主とする視点から大学教養レベルまでの主要概念を抽出し,主要概念と知識・技能の統合化の観点から実験テーマの候補を抽出した。候補としては,燃料電池,反応速度,磁性が選ばれた。それらの実験テーマの実施を通して学習者が3つの思考レベルで実感することができるように実験条件の最適化を行った。実験結果を基に教材(T.M. ver.1)を作成した。T.M. ver.1を本学教育学部で一部試行し,結果を国内外の学会で発表した。新型コロナウイルスの感染拡大に伴い初年度は附属高校においての試行はできなかった。2年度は遠隔授業への適用も含めて検討する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
初年度は,物理化学を主とする視点から大学教養レベルまでの主要概念を抽出し,主要概念と知識・技能の統合化の観点から実験テーマの候補を抽出した。候補としては,燃料電池,反応速度,磁性が選ばれた。それらの実験テーマの実施を通して学習者が3つの思考レベルで実感することができるように実験条件の最適化を行った。実験結果を基に教材(T.M. ver.1)を作成した。T.M. ver.1を本学教育学部で一部試行し,結果を国内外の学会で発表した。新型コロナウイルスの感染拡大に伴い初年度は附属高校においての試行はできなかった。2年度は遠隔授業への適用も含めて検討する。
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今後の研究の推進方策 |
2年度は,学会での評価を踏まえ,教材(T.M. ver.1)の妥当性を検討し,充実に向けて修正・補強し, T.M. ver.2の仕様を決定する。T.M. ver.2における知識・技能との結合のためのイメージ化(図)やモデル化(記号化や図式化)を行い,重要性を視点に概念の順位性に基づくイメージの階層化の概略を行う。T.M.ver.2とモデルやイメージを統合し,実験学習プログラム(E.P. ver.1)を作成する。 新型コロナウイルスの感染拡大に伴い初年度は附属高校においての試行はできなかった。2年度は遠隔授業への適用も含めて検討する。本学教育学部および附属高校においてE.P. ver.1を試行してアンケート調査を行う。中間的な取りまとめを行い,E.P. ver.1を国内外の学会で発表し,各国の最先端の科学教育研究者から評価を受けながら改善する。アンケートや学会でのE.P. ver.1の評価を踏まえてプログラムの妥当性を検討し,E.P. ver.2作成に向けて修正・補強を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
初年度は新型コロナウイルスの感染拡大に伴い,後半に予定していた附属高校等においての試行や学会への参加が一部取りやめとなった。状況を鑑みて2年度は遠隔授業への適用を計画しており,そのための器材購入および再開が期待される学会参加に使用する。
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