2022年1月に日本ジオパークに認定された十勝岳Gpは、活火山・十勝岳の山麓をエリアとしており、火山と共生する地域づくりを目指している。十勝岳は、20世紀に3回噴火しており、特に1926年噴火では、融雪型泥流を誘発し144名の人的被害があった。十勝岳Gpでは、噴気を上げる火口や、溶岩流、火砕流堆積物などを観察するツアーや、1926年噴火の遺構と被災地をめぐり復興の歴史を紹介するツアーなど、活火山と人の暮らしの歴史が体感できる。特に2021年度は、火山噴火現象についてより深い理解を得るため、以下の3つの教育プログラムを実践した:①ポップコーン火砕流実験、②粘土を使用した溶岩実験、③火山灰・岩石試料作製。①および②について地域内の4つの小学校で実施したところ、「分かりやすかった」「学習のねらいを達成できた」といった教員からの反応があった。③のプログラムについては、室内作業であってもできるだけ現物を児童に見せたいとの考えから実施した。小学校低学年を中心とする7人に体験してもらったところ、皆が内容について「とても楽しかった」と回答し、おおむね好評だったと考えられる。ジオパークは、単に地質や地形を見せる場所でなく、地球の成り立ちから地域文化の形成までをトータルに扱う「フィールドミュージアム」であり、防災教育を進めるうえで理想的な教材を提供できる。とくに、ジオツーリズムを主導するジオガイドとともに行う災害事例研究および教育実践は、社会教育の場を構築するうえで重要なプロセスとなるだろう。
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