研究課題
本研究は、亜熱帯地域と温帯地域に生息する身近な生物の比較を通して「生物の多様性(地域性)と共通性」を実感できる教材を開発し、授業実践による有効性の検証を行う事を目的に実施している。これまで、亜熱帯地域の身近な自然環境に対応した理科教材の研究開発が、十分に行われてこなかった理由の一つに、教材開発の基礎となる対象生物に関する情報の不足があげられるため、本研究では、対象となる生物の基礎的な生態調査とその結果を活用した教材開発に注力して実施している。本年度の動物の研究では、リュウキュウカジカガエルの発生段階図表の作成を進めて一応完成させて、学術論文で発表した。昨年度に引き続き、琉球列島の動物の生態についての基礎的知見の集積を進めて、両生類・爬虫類の基礎生態の調査、外来種の食性解析などを行い、一部を論文などで発表した。DNAの抽出やPCR、制限酵素に関する教材は一通り完成して、高等学校の生物の教員研修で実践を行ったほか、高校生の探究活動の一環として利用した。また、植物については、沖縄島および周辺小島嶼に自生する植物の季節変化を捉えるため、これまでに実施してきた屋我地島の現地調査によって得られたデータをまとめた。新型コロナウィルス感染症の影響により、予定していた現地調査を進めることが困難であったため、文献調査と関連する植物標本室の標本調査を行い、琉球大学教育学部植物標本室、同学理学部標本室、国立科学博物館、鹿児島大学総合研究博物館植物標本室、沖縄県立博物館・美術館、東京大学植物標本室、スミソニアン国立自然史博物館の所蔵標本に基づいて維管束植物のデータをまとめ、植物目録を作成した。教材開発については、リフレクションの質的評価方法を確立するため「一枚ポートフォリオ評価」を使用して、「学習前・後の本質的な問い」「学習履歴」「自己評価」の各項目についての検証方法について分析を行った。
すべて 2022 2021
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (9件)
Herpetology Notes
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九州両生爬虫類研究会誌
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