研究課題/領域番号 |
19K03153
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研究機関 | 明星大学 |
研究代表者 |
長 慎也 明星大学, 情報学部, 教授 (80350479)
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研究分担者 |
北島 茂樹 明星大学, 教育学部, 教授 (00712449)
今野 貴之 明星大学, 教育学部, 准教授 (70632602)
山中 脩也 明星大学, 情報学部, 准教授 (90548877)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | プログラミング教育 / コンピュータとの対話 / オンライン授業 |
研究実績の概要 |
2021年度は,C. S. Peirce の探究過程の「演繹」「帰納」「仮説形成」のうちの「帰納」による対話を促す仕組みとして,学習者間の「気づき」を共有するだけでなく,それらの類似点・相違点を容易に議論できるようなシステムを新たに開発した.このシステムにおいては,SNSのように自由に書き込みができる一方で,他者が書き込んだ内容を閲覧するにあたって制約が設けられている.具体的には,指定されたタイトルで投稿を行うまでは,同じタイトルで投稿を行った他者の書き込みが閲覧できないという制約である.これは,他者からの書き込みに影響を受けて似たような書き込みを行ってしまうことを防ぎ,それぞれの学習者が独自の気づきを書き出し,他者との差異に気づいてもらう機会を増やすねらいがある. このシステムが加わったことで,2021年度の目標であった,「演習を,<1:参加者は非同期に進行>でき,<2:すべての推論が対話的に誘導>され<3:参加者同士で非同期に協働可能>なオンライン環境」および,「学習者間の気づきを共有するだけでなく,それらの類似点・相違点を容易に議論できるようなシステム」を構築することができた. また,本学の情報学部においては,昨年度から続いているPythonを用いたプログラミングの基礎を学ぶ授業および,Webアプリケーション開発の授業において,実習環境のログを活用したオンライン上での学習者支援を行った.具体的には,プログラミングのエラーの発生頻度や,課題解決にかけている時間のデータなどをもとに,教授者による支援が必要な学習者を自動的に提示し,半自動生成したアドバイスをSNS上で送付できるシステムを開発した.これにより,ある程度時間をかけている学習者に対しては教授者からの積極的な働きかけが有効であることが明らかになった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2021年度は,依然としてオンラインでの授業が主体となっていたことから,オンライン上でのシステムの検証は順調に進んだと考えられる. ただし,対面で予定していた実践授業が中止になるなどの影響もあって,実践が思うように進んでいない.
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今後の研究の推進方策 |
2021年度中に開発した「気づき」を記入するオンライン環境を実際の授業で運用していく.実践を行うことにより,これまでプログラミング環境に蓄積していたソースコードのログだけでなく,自然言語により書き出された「気づき」についてのログを得ることができる.これらのログを分析することにより,学習者の理解がどの程度深まったか,それが不足しているのであれば必要な支援が何であるかを明らかにしていく. 本システムにはまだ不十分な点があるので拡充していく.具体的には,学習者に対して気づきの書き込みを促したり,プログラム上のアドバイスを行ったりするようなBotである.このBotは,当初からの目標である「コンピュータ1台」という共同体(共同体A)が複数集まった共同体に加え,さらにこれらを「俯瞰的に包括する1台のコンピュータ」を加えた共同体(共同体B)を完成させることにつながる
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次年度使用額が生じた理由 |
ほとんどの学会がオンラインになり,出張費・旅費が大幅に減ったため,当初の通りに執行ができていない状態である.今後,感染収束したときを想定して,旅費などを多めに計上しておく必要があると考えた.
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