研究課題/領域番号 |
19K03154
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研究機関 | 金沢工業大学 |
研究代表者 |
中村 晃 金沢工業大学, 基礎教育部, 教授 (60387355)
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研究分担者 |
西岡 圭太 金沢工業大学, 基礎教育部, 准教授 (10748734)
工藤 知草 金沢工業大学, 基礎教育部, 講師 (90759515)
渡辺 秀治 金沢工業大学, 基礎教育部, 講師 (90717555)
秋山 綱紀 金沢工業大学, 基礎教育部, 講師 (00834425)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 数学 / 知識構造 / チャット機能 / STEM / 物理 / 演習問題 / eラーニング |
研究実績の概要 |
数学、物理、工学を統合した、いわゆるSTEM( Science, Technology, Engineering and Mathematics)のウェブ学習サイトのハイパーリンク構造を基に生成した知識構造をネットワークグラフで可視化することにより学習者が自己選択で必要な知識に容易にアクセスできるSTEM学習環境の構築を長年取り組んできており、随時完成したコンテンツはインターネット上に公開し多くの方に利用していただいている。従来から学習者の理解を定着させるために演習問題を作成していたが、多くの利用者が検索の結果により利用するため、演習問題までたどり着きにくいという課題があった。そこで、演習問題のページから参照している解説ページのリンク構造を解析し、逆方向のリンクを自動生成する機能の開発を数学の分野で行った。これにより、利用者は解説ページから容易に解説ページの内容を含んだ演習問題にアクセスでき、効率よく学習することが可能となった。すでに、この機能は公開している。現在、多くのウェブサービスでチャットボットが導入されるようになっている。利用者が質問することによって、チャットボットが効率よく利用者に適切な情報を提供するサービスである。この機能を我々のSTEM学習環境に組み込むための開発も進めているが計画より遅れている。これらのシステムが上手く機能するためには、コンテンツの拡充が重要である。数学に比べると物理コンテンツが不足しているので、物理のコンテンツの拡充に取り組んでいる。物理現象を理解するためには実験をして実際の現象を観察するのが効果的である。そこで、実験動画の作成も進めている。すでに、7つの実験動画を公開している。力学の演習問題の作成も進めており、公開したものもいくつかある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
微分の計算に関するチャットボットの開発が遅れている。チャットボットの開発は、当初計画通り、IBM Cloudのサービスの中のAIというカテゴリーに含まれているWatoson Assistantというサービスを使うことにした。通常のウェブサービスで使われているようなチャットボットではテキストの入力だけで質問や回答が可能であるが、数学学習のチャットボットの場合、質問したい内容の中に数式が含まれていたり、答えだけでなく、数式を多く含んだ解答を提示する必要があったりするなど、一般的なチャットボットと性質が異なり開発が困難である。これらの課題を解決するために、KIT数学ナビゲーションという解説ページと演習ページを含むeラーニングサイトのコンテンツをチャットボットの回答の中に取り入れることにしている。微分の学習初心者がこのチャットボットを通して効果的に学習していくための話ストーリー展開をいくつか検討したが、なかなか納得できず、計画より遅れている。現在、試行錯誤の最中である。
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今後の研究の推進方策 |
チャットボットの遅れを挽回すべく、微分の計算に関するチャットボットの開発を最優先に取り組む。チャットボットの開発には、今回開発した解説ページから演習課題に自動生成するハイパーリンク機能を活用して、学習初心者でも学習効果のあるチャットボットに仕上げる。さらに、計画している積分の計算に関するチャットボットの開発をするめる。 今回開発した解説ページから演習課題に自動生成するハイパーリンク機能は数学の分野に限られていたが、物理に分野にも拡張する。この機能が利用者にどのように活用され学習に行かされているかを、アクセスログで解析しようと考えている。この解析をするために、従来開発していたSTEM学習環境を評価するためのアクセスログ解析プログラムを改良する。 計画通り、物理の分野の電気と磁気の分野の解説と演習問題の作成を進める。実験動画の解説も詳しいものに加筆し、解説ページや演習ページとハイパーリンクで接続し、学習者がより深く学習できるように仕上げる。 新型コロナ対策で多くの教育機関が遠隔授業を推進している影響で、5月の中頃には利用者が1日当たり2万5千名を超えるような日もでてきた。昨年度よりほぼ倍の利用者数になっている。そこで、完成したコンテンツはすぐに公開し、社会に貢献していきたい。スパートフォンに対応していないページはスマートフォンに対応させ、利用者にとって使いやすくする取り組みを行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
予定していたより、発表につながる成果がすくなく、学会発表できなかったことによる。 ウェブ開発環境を各教員に構築するのではなく、2台の共有パソコンに構築ししたことにより支出を抑えたため。
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備考 |
(4)について、解説ページから演習問題への自動生成リンク機能は、解説ページの各タイトルの上部にある「問題リスト」というリンクのことである。関連する演習ページが存在しない場合は、この「問題リスト」のリンクは現れない。
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