研究課題/領域番号 |
19K03155
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研究機関 | 名古屋女子大学 |
研究代表者 |
小椋 郁夫 名古屋女子大学, 文学部, 教授 (30707865)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | パターン把握 / 深い学び / 野外学習 / 自然観察 / 関心・意欲・理解 / 表現力 / 変容 |
研究実績の概要 |
年間4回の研究協力者との会議や野外での実践を行った。主な内容は、1.長良川上流から中流の自然観察、2.1.を生かしての小中学生対象のパターン把握により深い学びができる野外学習プログラムの作成、3.2.を活用した野外学習会の実施、4.長良川以外の野外観察プログラムの作成であった。研究の中心である長良川の野外学習プログラムの開発に関しては1.2.のみで行う計画であったが、会議において、まず作成したプログラムで児童対象に実施して再度修正し、二年目の実践につなげたほうがよいということになった。本巣市立席田小学校5年生の長良川学習を実施し、長良川上流の夫婦滝から中流の美濃市山崎大橋と岐阜市忠節橋の河川観察の実習指導を行った。児童は意欲的に活動し、多くの発見を行い、事後のアンケートでは全員が、川に関しての興味・関心が観察する前よりも高まったことが考察された。 また、「身近な自然ちょっぴりくわしく見てみよう」と「岐阜県の魚類の現状と今後」を活用した授業実践を行った。児童生徒の自然観察における学びに向かう関心・意欲、理解の力や表現力の変容を考察するためのアンケート用紙を作成した。 「身近な自然ちょっぴりくわしく見てみよう」では自然の中の生物観察をすることの意義について4つの小学校140名程度で実施した。その結果、同じテキストを使っても話を聞くだけよりも、聞いた後で対象の生物を観察した方が、それ以後の生物を観察することへの興味・関心が高まっていくことが考察できた。しかし、「岐阜県の魚類の現状と今後」については、中学校3年生最終単元「自然と人間」で実施する計画であったが、新型コロナ対策の影響でできなかった。来年度に実施する。 この他、岐阜市内の金華山や富山県庄川(長良川と分水嶺)の自然観察も行い、それぞれ深い学びができるための野外学習プログラムの作成を検討することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
【研究実績の概要】でも述べたように、「長良川の野外学習プログラムの開発」の研究は、令和1年度には令和2年度の計画の一部を当初の計画よりも早く、作成したプログラムを小学校で野外学習会を実践して、その検証に進めていくことができた。このことにより、研究費の前倒し請求も行い承認いただいた。 冊子の実践も4つの小学校で行っていただくことができ、その効果も確認できた。 それ以外の野外学習プログラムについても、金華山周辺、庄川河口付近と鮭の遡上などの観察、岐阜県博物館、東山動植物園などの科学博物館施設の見学を通して、多様な学習プログラムの作成に着手していくことができた。
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今後の研究の推進方策 |
二年目は、「再度作成したプログラムによる児童生徒対象の野外観察と事後の検証」を 三年目は、「再検討したプログラムによる再度の野外観察と冊子の作成」を行い、早い時期から冊子の原案の検討を行い、自然や科学博物館対象の独創的で斬新的な冊子の完成を目指す。具体的には、数校の小中学校の児童生徒をバスで長良川の上流から下流まで一日研修を実施し、その成果をもとにして、「長良川ガイドブック」を作成して、長良川流域の小中学校に配布する。 「身近な自然ちょっぴりくわしく見てみよう」(小学校)「岐阜県の魚類の現状と今後」(中学校)の効果については、さらに多くの小中学校で活用した授業実践を行い、児童生徒の自然観察における学びに向かう関心・意欲、理解力や表現力の変容のアンケートをとり考察して、活用効果を議論し、活用資料を作成したり、付加修正する内容などを考えたりする。
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次年度使用額が生じた理由 |
前倒し請求も含めて使用した結果、端数が生じたので次年度に使用する。
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