研究課題/領域番号 |
19K03161
|
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
池ノ上 芳章 東北大学, 工学研究科, 特任教授 (30790993)
|
研究分担者 |
森谷 祐一 東北大学, 工学研究科, 教授 (60261591)
須藤 祐子 東北大学, 工学研究科, 特任准教授 (70344687)
武田 浩太郎 東北大学, 工学研究科, 講師 (80727214)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
キーワード | 企業戦略 / 財務諸表 / 創造力 / 工学教育 / 効果検証 / 産学連携 / 新型コロナ / 富 |
研究実績の概要 |
研究主題は「創造性豊かな人材を如何に育成するかの“問い”」であり、解決手段に「新たな形の工学教育プログラムを開発」とする教育研究である。本年度も新型コロナ禍拡大懸念の中、収束後の“世界”を学生自ら考えさせる教育とし、下記の教育研究の機会を設けた。 第1教育研究は、「基礎コース」である。ここでは「コロナ禍が続いて貧困・格差が拡がり、産業・社会の構造がこれまでとは不可逆な世界に入ってきた」背景を考え、学生自ら「2050年のあるべき姿を考え,日本の方向を変えるべく、時価総額100兆円のポテンシャルを持つ新事業を提案する」という課題である。学生には敢えて30年後の「2050年のあるべき姿」と「日本の方向を変えるべく」、「時価総額100兆円のポテンシャル」を持つ「新事業」提案を行うという課題を設けた。この課題は学部1年生や受講初回学生にとって難問であるものの、企業役員・国連職員・元外交官・教員等による諸講義に加え、本講座の複数受講者をTAとして財務諸表講義者に加えた。受講者43名(学部41名、修士2名)、TA4名。学生の最終発表は連携企業の経営層から高く評価され、学生の「振り返りレポート」も回収して教育効果を分析した。 第2教育研究は、昨年に続きUC Berkeley, Business School(Haas MBA)によるリーンスタートアップのデザイン思考教育の実施である。学生にとって英語講義や意見交換の場設定は、国際性を育む人材育成の有効な機会となった。 第3教育研究は、「実践コース」の実施である。本年度は、昨年の基礎コース受講学生から25名参加し、学生自らでグローバル企業2社を選択し財務諸表分析から経営課題を見つけ、経営者に新事業を提案した。また本年度の成果として、本教育講座を4回(4年間)受講者した学生5名がこれまでの学びを振り返り「財務諸表の読み方」の本を出版した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度計画における実施として、 ①基礎コースの改良/新プログラムの開発/教育効果測定等 計画通りに3年目も産学連携による基礎コースの改良を実施した。本年も4月から新型コロナ拡大懸念が続き、課外活動が対面及びオンライン受講となり、本研究主題への効果測定の分析研究(アンケート調査を含む)の遅れが生じた。協力企業6社。また、本年の受講者は、学部41名、修士2名の参加となった。うち初回受講者の中には修士1名も含まれが、博士人材からの初回受講者の参加まで裾野を拡げることができなかった。しかしながら、本年の教育課題(基礎コース)は、「コロナ禍が続いて貧困・格差が拡がり、産業・社会の構造がこれまでとは不可逆な世界に入ってきた」背景を考え、学生自ら「2050年のあるべき姿を考え,日本の方向を変えるべく、時価総額100兆円のポテンシャルを持つ新事業を提案する」という難解な課題である。受講後の学生振返りレポートの解析が遅れている。②第2教育研究の機会において、昨年に続きUC Berkeley, Business School(Haas MBA)によるリーンスタートアップのデザイン思考教育の実施を行い、国際性を育む人材育成のを計画通り実施した。③第3教育研究の機会である「実践コース」の実施では、本年度学生自らでグローバル企業2社の財務諸表分析を行い当該企業に新事業提案を行う等、学生先導の積極的な活動が見られた。④本教育講座を4回(4年間)受講者した学部生5名が、学びを振り返り「財務諸表の読み方」の本を出版した。⑤過去の受講者層(卒業生)を振り返り、具体的には、“財務諸表の考え方”等が卒業後の仕事にどう活かされたか?の追跡調査や本教育効果を探る調査が遅れている。
|
今後の研究の推進方策 |
コロナ禍による教育研究の遅れにより1年延長する。延長した2022年度(4年目)は、教育効果検証の遅れを取り戻す。特に、前述の⑤過去の受講者層(卒業生)を振り返り、本教育効果を探る調査を本格化させる。具体的には、“財務諸表の考え方”等が卒業後の仕事にどう活かされたか?を追跡調査する。また、協力企業と「産学連携して」企業の実践課題や社会課題、未来課題に挑戦する課外授業を行い、大学と企業の「壁」を超えて、また受講生の年齢や学科専攻の「壁」を超えて、“財務諸表の考え方”で工学教育をベースにする創造力を発揮できる新たな工学教育プログラムに発展させる。
|
次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍の影響により次年度使用額が生じた。本研究に関係する過去の受講者(過去5年間)へのアンケート調査が、コロナ禍の影響と連絡先追跡/確認への個人情報の制約もあって遅れているが、次年度(4年目)に当該活動費用を持ち越す。
|