研究課題/領域番号 |
19K03162
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研究機関 | 山形大学 |
研究代表者 |
仁科 浩美 山形大学, 大学院理工学研究科, 准教授 (10431644)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 意思決定プロセス / 日本人学生 / 留学生 / 話し合い |
研究実績の概要 |
本研究は、理系の日本人学生同士のグループが日本語で話し合いを行い意見をまとめる場合と、日本人学生と留学生の混合グループが日本語で話し合い意見をまとめる場合とで、合意形成にそれぞれどのような特徴が見られるのかを、いくつか条件を変えながら明らかにすることを目的としている。 令和3(2021)年度は、前年度に終了できなかった、上述のメンバー構成(学部2年生)による問題解決型および創造開発型の課題の話し合いの結果を論文にまとめた(現在、印刷中)。本論文では、合意形成までの流れそのものには話し合いの型による違いはあまり見られなかったことや、いずれの場合でも司会者や書記役などを明確に立てることなく、全員の合意を確認する発言もないまま、部分的な合意や発話量の多い参加者の発言により結論へと至ってしまう傾向が見られたことを述べた。また、留学生との話し合いにおいては、留学生が知らない単語レベルの説明は行うものの、留学生が話の展開を誤解して逸脱したり、話が冗長になる場面では、理解のための補助や説明はなく、留学生の発言を聞き流して合意へと進める場面も見受けられた。以上のことから、話し合う態勢そのものや、合意の仕方について改善の余地があることを指摘した。 年度の後半には、新たな条件下で話し合いの実験を行った。今回は、事前に司会進行と書記を据えるよう指示した上で、学年の差に注目し、日本人学生と留学生の学年が同じ場合の話し合いと、学年(課程)が上の留学生の場合との話し合いで何か違いが生ずるのかを創造開発型のタイプを用い実施した。現在、文字化作業を行い、分析を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
Covid-19により、本研究の対象者である学生が長期間キャンパスに登校できなかったため、次に予定していた対面での実験の実施が困難であり、実施が年度の後半にずれこんだ。Zoom等によるオンラインでの実施も検討したが、課題の性質上、結果が異なることが予想されたため、オンラインでの話し合いを扱うことを見送った。
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今後の研究の推進方策 |
これまでに(1)課題のタイプ(課題解決型・創造開発型)を変えた話し合い、(2)留学生側の学年(同学年・上級生)を変えた話し合いについて、日本人学生側に視点をおき、分析してきた。今後はさらに条件を変え、日本語が母語である日本人学生と、日本語非母語話者である留学生との日本語による合意形成を分析し、互いに納得できる結論を得るための話し合いはどうあるべきかを検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍のために、予定していた対面での話し合い実験を行うことができず、データが収集できない時間が長引いたため、次年度使用額が生じた。また、国内の学会も全てオンラインで行われ、さらに参加を予定していた海外での国際研究大会が2022年11月(予定)に延期となり、旅費に充てる予定の金額を使用せずに終わった。 次年度は引き続き、日本人学生および留学生を対象に、合意形成に影響を与えると思われる条件をいくつか変えながら話し合いのデータを収集し、協力者への謝金、資料整理、国内外での学会参加、発表に助成金を使用する予定である。
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