研究課題/領域番号 |
19K03172
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
小島 健太郎 九州大学, 基幹教育院, 准教授 (20525456)
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研究分担者 |
原田 恒司 九州大学, 基幹教育院, 教授 (00202268)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 相互作用型授業 / 協調過程 / グループ学習 / ピア・インストラクション / ワークシート |
研究実績の概要 |
近年の物理教育研究の進展は、数多くの相互作用型授業の開発や実践を生み出してきた。今後、相互作用型授業を取り入れた新たな実践を支援し展開していく上では、相互作用型授業が学習を促進するメカニズムについての理解を深めることが重要な課題となる。本研究では、特にピア・インストラクション(PI)型の相互作用型授業に注目し、そこで生じる協調過程を「学習活動-学習成果-学習者の特性」という3つの側面から捉え、この3者がどのように相互連関しているのかを、授業実践に基づくデータの分析によって明らかにすることを目的としている。 当該年度は、PIで行われる学習者間の議論が、学習者の理解深化や概念変化にどのように影響しているのかを調べるために、学習活動、学習成果、学習者の特性に関するデータを取得するための手法の検討と準備に加え、実際に授業実践からデータを取得することを計画していた。本年度は、まず授業内で行うグループ学習の際に用いるための構造化されたワークシートを開発した。このワークシートを用いた授業実践を行い、グループ学習で自然に生じる話し手(解説や説明を行う)、聞き手(解説や説明を聞く)の区分に注目し、質問紙調査を用いてグループ学習における理解深化の度合い、グループ学習の活発度について調べた。のべ387名から得た回答を分析して得られた結果は、グループ学習の中で学習者が説明することで自らの理解を深化させている過程が生じていることが強く示唆された。この結果の一部は学会で発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の主な実施内容は、上述の構造化されたワークシートの開発と、それを用いた授業実践によるデータ取得、分析である。ワークシートは、学習者が問題解決をする上で思考することやグループ学習で行う外化を段階的に支援できる。さらに、ワークシートによって学習者の既有知識をデータとして取得することが可能となった。また、ワークシートを用いた授業実践において実施した質問紙調査で得た学習活動の振り返りのデータを取得し、現在まででのべ500名分を超えるデータを蓄積している。このデータの分析も一部実施し、上述の研究実績の概要に記した結果を得ている。
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今後の研究の推進方策 |
今後研究を進めていく上で実施すべき課題の一つは、学習者のより詳細な学習活動データを取得する仕組みを構築することである。具体的には、物理学の問題解決に取り組む際の、回答に対する確信度や、グループ学習の前後での理解度の差を収集できるシステムを構築していく。これまで開発してきたワークシートにこうした機能を取り込むよう発展させることを計画している。また、データを効率的に取得するため、ワークシートをWEBベースのシステムとして稼働させる予定である。また、すでに蓄積しているデータを、学習者グループごとに分析することも予定している。この分析によって、グループ内で生じた学習の過程をいくつかのパターンに分類できないか、確かめる。なお、現在、新型ウイルスの感染対策に伴う教育環境の変化が生じており、予定していた授業実践が困難な可能性がある。オンライン授業に対応する形で研究計画を修正し、実施していくことを予定している。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究をスムーズに実施する上で最適な予算使用の時期を検討した結果、当初予定していた形でのシステム開発に伴う予算使用と物品の購入に伴う予算使用が計画よりも後ろ倒しになった。令和2年度は、これらの予算も当初計画に含めて使用する計画である。
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