研究課題/領域番号 |
19K03174
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
安森 偉郎 東海大学, 教育開発研究センター, 准教授 (50369451)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 太陽電池 / シリコン |
研究実績の概要 |
近年,二酸化炭素などの温室効果ガスによる地球温暖化などによって,エネルギー問題への関心が高まり,再生可能エネルギーの1つとして太陽電池は注目されている。また,エネルギーなどの社会問題を考えるきっかけにもなる。 筆者らは,これまでに物づくりの楽しさを体験させることを主眼に置いて半導体デバイスの製作実習方法を開発し学生実験に導入してきた。また,必要最低限の半導体製造装置を用いて教育用シリコン(Si)太陽電池を製作する研究を行ってきた。半導体デバイス製作実習では,設備が十分整った環境が求められるため,多くの学生にデバイス製作を経験させることが難しい現状がある。そこで,半導体製造装置をほとんど備えていなくても,通常の実験室のような環境において製作実習を実施する方法について研究してきた。一般に大学等の学生実験は2コマ(90 min×2)で実施されるため,この時間内に製作できれば学期中の学生実験への導入が容易となると考えられる。 本研究では製作時間の短縮化を目的として,製作工程における不純物拡散溶液の濃度や拡散時間について調べ,太陽電池の製作からソーラーモータ駆動までを2コマで実施する方法を考案した。その結果,学期中の学生実験等への導入が時間的に可能となることがわかった。このことから,多くの学生等に太陽電池製作からモータ駆動までを体験させることができ,太陽光発電の原理や半導体物性を深く学ぶきっかけとなると期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では製作工程における不純物拡散溶液の濃度や拡散時間について調べ,太陽電池の製作からソーラーモータ駆動までを2コマで実施する方法を考案した。その成果を学会誌「応用物理教育」Vol.44,No1(2020)に論文発表したため,おおむね順調に進展していると評価した。
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今後の研究の推進方策 |
太陽電池製作におけるp型拡散層を形成する際の熱拡散を短時間にするなどの改良によって2コマで実験実習が可能となるような製作工程の改良に成功した.しかしながら熱拡散を短時間にした場合に太陽電池特性の低下が生じた.製作時間の短縮化という観点からこの低下の原因についての知見を得ることは重要である.そこで,この太陽電池特性の低下について研究を推進する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
太陽電池の短時間製作の開発に予定よりも時間がかかり,詳細な計測に関する機器の準備が遅れたため。使用計画としては,測定機器などに使用する計画を準備している。
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