研究課題/領域番号 |
19K03183
|
研究機関 | 小山工業高等専門学校 |
研究代表者 |
森下 佳代子 小山工業高等専門学校, 一般科, 准教授 (50344924)
|
研究分担者 |
飯島 洋祐 小山工業高等専門学校, 電気電子創造工学科, 准教授 (90565441)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
キーワード | 3Dクラフト / 視覚化 / 元素の周期律 / 電気陰性度 / イオン化エネルギー |
研究実績の概要 |
化学の基礎を直感的に理解するための組立式3Dクラフト教材の開発を最終目標として,2019年度は,電気陰性度とイオン化エネルギーを対象に,クラフトの設計・試作に取り組んだ。 まず,電気陰性度の3Dクラフトは,電気陰性度の大きさに合わせてカットした角材を金属元素と非金属元素に分けて色塗りし,できたブロックを周期表上に並べることによって,電気陰性度の傾向を三次元で視覚的に捉えられるようにした。実際にこれを使って授業を実施し,アンケート調査した結果,教科書だけでは理解できなかった学生も,木製ブロックを順番に並べる作業によって,電気陰性度が同じ周期の中で,あるいは同じ族の中で,原子番号にともなってどのように変化するかがよく理解できたとの回答を得た。 次に,イオン化エネルギーの3Dクラフトについては,アルゴン(希ガス),カリウム(アルカリ金属),カルシウム(アルカリ土類金属)の3元素を対象に,第1~第3イオン化エネルギーを3Dプリンタで作成したピースで表現した。このクラフトに対する感想を尋ねたところ,3Dクラフトを目にすることで,アルカリ金属が1価の陽イオンになりやすい理由,アルカリ土類金属が2価の陽イオンになりやすい理由,希ガスがイオンになりにくい理由が視覚的に理解できたとの回答が得られた。同時に,既存の教材として供されるイオン化エネルギーの表の数値だけではイメージできない学生も,3Dクラフトを用いることによって,内容を理解できることが確認された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
まずクラフト作製に関して,当面の開発対象とした3Dクラフトのうち,電気陰性度については完成済みであり,イオン化エネルギーについては,試作を経て,本格的な製作に入っている。その他の3Dクラフトについても,現在デザインに入っている段階であり,順調といえる。 効果の検証については,初年度の調査として,一般社団法人教育のための科学研究所開発のリーディングスキルテストと高専機構実施のCBTの受検が終了している。
|
今後の研究の推進方策 |
新型コロナウィルス感染症の影響により,当初予定していた3Dクラフトを用いたグループワークの実施が現状では難しい。今年度は,教科書の内容理解が停滞した学生を対象に,3Dクラフトを用いて講座を実施し,3Dクラフト使用前後の理解度の変化について調査する。本格的な効果の検証については2021年度に実施するものとし,それに向けて3Dクラフトの増産を図る。
|
次年度使用額が生じた理由 |
計画当初,3Dクラフトの素材として発泡ウレタンフォームを候補とし,これをカットするためのフォームカッターを購入予定であったが,試作時点でクラフトに不適であることが判明したため,購入しないこととした。その一方で,国際学会旅費が予定額を超え,その差し引きにより,若干の繰り越しが生じた。 繰越額は2020年度の所要額の1%程度であり,3Dクラフト増産時の消耗品として使用する予定である。
|