研究課題/領域番号 |
19K03185
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研究機関 | 尾道市立大学 |
研究代表者 |
南郷 毅 尾道市立大学, 経済情報学部, 准教授 (30710933)
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研究分担者 |
牧山 隆洋 弓削商船高等専門学校, 総合教育科, 講師 (20804553)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 数学教育 / 物理教育 / 教材開発 / 双方向性 / 関連 / 工学教育 |
研究実績の概要 |
本研究は,後期中等教育段階の学習者(高校生や高等専門学校の低学年生)が,日常的に数学と物理を関連させて学習するために,数学と物理の学びにおける双方向性を構築することを目的とした研究である. 2019年度は,数学と物理の教科書における単元ごとの関連を調べ,表面的な双方向性を構築した.また,数学と物理の双方向性を体感しながら学ぶことができる実験教材の題材を探索し,楕円コンパスを教材化した.3ヶ月に2回程度の割合で対面の打ち合わせを実施し,議論や研究の進捗管理を行った. 高等学校や高等専門学校の数学と物理の教科書を取得し,数学から見た数学と物理の関連,物理から見た物理と数学の関連を調査した.調査結果を研究グループで議論し,数学と物理の表面的な双方向性を構築した.物理の各分野には,前提となる数学として,ベクトルと三角関数が共通していることが明確になった.また,高等学校では,物理基礎の段階から微分の考えや区分求積法などの考え方が現れていること,物理の教科書では数学との関連に触れるような記述が多数見られるが,数学の教科書では物理との関連についてほとんど触れられていない現状等が明らかになった.今後は,物理で既に学んでいる考え方や事例と数学を関連付けた指導や教材の開発,数学での学習の見通しと関連づけた物理の指導や教材の開発につなげていく. 数学と物理の双方向性を学ぶことができる実験教材の題材を収集し,楕円コンパスを教材候補として選定した.研究グループで楕円コンパスの持つ教材としての価値や指導の場面を議論し,楕円コンパスを数学と工学を双方向に学習できる教材として位置付けた. 楕円コンパスのもつ教材としての価値や数学と工学の関連を明らかにし,高等専門学校低学年生向けの学習指導案とともに論文にまとめて公表した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画に沿って,数学と物理の教科書における関連を調査し,表面的な双方向性を構築することができた.また,教材の題材の探索中に予想以上に価値を持つ題材を見つけることができ,教材化をはかることができた. 研究グループとして発表した成果は,学会発表3件,査読付論文1件である.以上から,「おおむね順調に進展している。」と判断できる.
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今後の研究の推進方策 |
2020年度は,2019年度の数学と物理の関連の調査結果をもとに,日常の授業の中で数学と物理を関連づけて学ぶことができる双方向性教材を開発する.また,数学と物理の双方向性を体感しながら学ぶことができる実験教材の題材を引き続き探索する. 開発した教材を使用した授業を2021年度に計画していたが,2019年度に開発した楕円コンパス教材を用いた授業を前倒しで実施し,改善点の把握などを行う. 2ヶ月に1回程度,対面で研究の打ち合わせを実施し,議論や研究の進捗管理を行う.
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次年度使用額が生じた理由 |
掲載が確定した論文の掲載料,別刷代金分の請求が2019年度内になされなかったため,少額が未使用となった.2020年4月に請求書が届く予定であり,届き次第その支払いにあてる.
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