研究課題/領域番号 |
19K03186
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研究機関 | 国立教育政策研究所 |
研究代表者 |
野内 頼一 国立教育政策研究所, 教育課程研究センター研究開発部, 教育課程調査官 (00741696)
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研究分担者 |
伊藤 克治 福岡教育大学, 教育学部, 教授 (10284449)
後藤 顕一 東洋大学, 食環境科学部, 教授 (50549368)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 高校 / 化学 / 探究 / 課題の設定 / 学習プログラム / 評価 |
研究実績の概要 |
研究分担者や研究協力者とともに,化学基礎や化学における探究の過程を踏まえた学習プログラム及び評価方法を考案し実践を行った。特に,探究の過程における「課題の設定」や「検証計画の立案」に焦点をあてて,必要な要素は何か,どのように授業を構想すればよいのかなどについて議論を深め,授業を構想して実践を行った。 佐賀県立A高等学校では,食塩水の電気分解を題材として授業をデザインした。電気分解後の容器からろ紙を外して水溶液を混合するとフェノールフタレインの赤色が消失する原因を考えさせ,それを確かめる実験を計画させた。仮説を立てる際には,モデル構築の基本項目を参考とした定型文を与え生徒の思考が整理されるようにした。さらに,希薄水溶液で一連を探究の過程を経験させた後に,「飽和食塩水の電気分解ではどうなるか」というさらなる探究に取り組ませ,生徒は意欲的に学習に取り組んだ。 青森県立B高等学校では,「化学反応の量的関係」に関する実験の授業をデザインした。中学校では,化学反応における質量に関することを学習するため,生徒は係数の比は質量の比に一致すると仮説を立てて実験を行うが,実験結果を分析すると質量の比ではなく物質量の比であることに気付く。さらに,炭酸水素ナトリウムの熱分解の実験で,化学反応式の係数の比は物質量の比に一致することを見いだす実験に取り組むことで生徒は実感を伴った理解につながったようである。 北海道立C高等学校では,小中高の系統性を意識した授業をデザインした。4種類の無色透明な未知の液体(0.3mol/L塩酸,0.1mol/L塩酸,0.1mol/L水酸化ナトリウム水溶液,蒸留水)をフェノールフタレイン溶液のみで同定する課題を設定し,科学的な根拠をもち見通しをもった計画を立てさせ実験を行った。 その他,大分県や島根県の高等学校でも,課題の設定に着目した授業をデザインして実践を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究分担者や研究協力者の先生方を委員として専門委員会を組織し,探究の過程を踏まえた学習活動の実践例を検証し,特に「課題の設定」に着目した学習プログラムを考案して授業実践を行った。北海道,青森県,島根県,佐賀県,大分県等で授業実践を行い,現地への訪問調査を実施して研究協議を行い,実践の中から優れた要因を抽出して学習プログラム及び評価方法の試案に生かすことができた。特に「課題の設定」から「検証計画の立案」へのプロセスにスポットをあて,そのプロセスに関する学習プログラムや評価方法をいくつか考案できたことは収穫である。
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今後の研究の推進方策 |
これまで研究を推進してきた研究協力者の先生方(北海道,青森県,島根県,佐賀県,大分県等)を中心に各々の県において授業実践委員会を発足させる。これまでに作成した学習プログラムを基に,それぞれの地域で研究授業及び研究協議を行う。多面的に実践データを収集し,他の地域や学校でも活用できる学習プログラム及び評価の考案につなげていく。すでに,大分県では県の指導主事と連携して授業実践委員会を実施しており,他の県でも実施できるように準備を進めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究協力者が相互に授業を参観して研究協議を行う機会がコロナの状況で減少しており次年度に多く実施する予定である。
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