研究課題/領域番号 |
19K03187
|
研究機関 | 科学警察研究所 |
研究代表者 |
網野 加苗 科学警察研究所, 法科学第四部, 主任研究官 (70630698)
|
研究分担者 |
程島 奈緒 東海大学, 情報通信学部, 准教授 (40453609)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2025-03-31
|
キーワード | 市民科学リテラシー / 科学教育 / 論理的思考 / 批判的思考 / 科学的方法の教育 / 音響教育 |
研究実績の概要 |
一般市民の科学リテラシー(SL)について,科学全般の用語知識の調査は定期的に行われているものの,個別科学技術分野や科学的方法の理解に焦点を当てた調査は少ない.本研究では,日本の20歳~70歳代の男女を対象に,個別科学技術分野(音分野)の用語・概念の理解および科学的方法の理解の調査を行った. 今年度は,インターネット調査の結果から不良回答を除く696名のデータについて昨年度の行った分析結果をまとめて論文の執筆に着手した.執筆にあたり,詳細な検討が必要となった点については,追加の分析を行った. 調査項目のうち分析対象としたのは,諸分野への興味,日常生活における実践的SL,科学に対する考え方である.これらの項目と,科学全般の用語知識,音分野の用語知識,科学的方法の知識,回答者属性の間の関連について考察した.相関分析では,年齢と諸分野への興味,年齢および諸分野への興味と日常生活における実践的SLの間に正の相関が見られた.科学全般の用語知識,音分野の用語知識と科学的方法の知識の間にも強い正の相関があった.知識問題の成績と年齢,教育水準,文系・理系その他の回答者属性の間に関係は確認できなかった.因子分析では6つの因子(好奇心,論理重視,権威受容,情報収集,疑似科学,科学の価値の肯定)を抽出した.好奇心因子と科学の価値の肯定因子の間には強い正の相関が見られた.さらに,科学の価値の肯定因子と科学全般の用語知識および音分野の用語知識の成績の間にも正の相関が見られた. 本研究の結果から,年齢が高くなるにつれて高まる諸分野への興味をきっかけに,まずは実践的なSLを高めることが科学全般の知識や科学的方法の知識の向上にとって有効である可能性が示された.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究計画では,令和5年度は研究成果の発表を行う予定だったが,前々年までのコロナ禍により延期されていた業務を遂行するため,学会参加や論文執筆に必要な時間を割くことができず,計画に遅れが生じた.
|
今後の研究の推進方策 |
令和6年度は前年度に予定されていた研究成果の発表を行う.
|
次年度使用額が生じた理由 |
学会参加,論文執筆に必要な時間を割くことができなかったため,出張旅費,学会参加費および論文投稿料等,成果発表に関連する費用を執行することができなかった.研究期間を延長し,令和6年度に実施・執行する.
|