研究課題/領域番号 |
19K03195
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研究機関 | 江戸川大学 |
研究代表者 |
西村 律子 江戸川大学, 社会学部, 准教授 (10757727)
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研究分担者 |
平島 太郎 愛知淑徳大学, 心理学部, 准教授 (50803110)
浅岡 章一 江戸川大学, 社会学部, 准教授 (80386656)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 社会関係 / 高次認知機能 / 選択的注意 / オンライン実験 |
研究実績の概要 |
本研究では、社会関係が、脅威に対する腹側情動経路の活性化を抑制し、背側実行経路の活動への悪影響を緩衝することで、高次脳機能の機能低下を防ぐというモデルを立て、その妥当性を心理実験により検証することを目的としている。 2020年度の実績としては,2019年度に実施した実験結果を,日本心理学会第84回大会で発表したことが挙げられる。また,当初の計画においては,研究Ⅱとして「関係の弱い他者」による高次脳機能の機能低下を防ぐ効果の最小条件を明らかにすることを目的とした実験を実施予定であったが,新型コロナウィルス感染拡大防止の観点より,参加者と対面状況でのデータ採取を中止し,オンライン実験をベースとした研究計画をたて,実施準備をおこなった。 独立変数として,共作業の有無(1人条件・2人条件)と,脅威場面の有無(脅威画像呈示条件・中立画像呈示条件),情動ストループ課題の適合性(一致・不一致)を設定する。従属変数は情動ストループ課題における色名同定の反応時間と誤答率である。また,共作業として2名で課題に取り組む前には,3分間オンライン上で会話を交わすという手続きを加え,会話ののち2名で課題に取り組むことが,脅威場面下での認知機能維持に及ぼす影響を検討する。パンデミックにより他者と直接会うことが厳しく制限される中,本研究は,オンラインでの会話が脅威場面に対する反応を適切に減じ,認知機能を維持する効果を明らかにすることで,現代の社会問題に寄与することができると考えられる。 現時点でオンライン実験プログラム,オンライン実験状況およびマニュアルが完成しており,参加者を募集し実験を実施するところまで準備ができている。2021年度はデータ採取および解析を実施する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウィルス感染拡大により,対面による実験が実施できないため,オンライン実験をベースとした実験計画への方針転換を行ったため,本来であれば2020年度に採取完了予定であったデータを採取できていない点では進捗は遅れている。しかし,新たな研究計画に基づいた実験準備はおおよそ完了しているため,2021年度にはデータ採取およびデータ解析までが終了する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
上述した通り,対面での実験実施から,オンライン上での実験実施に方針転換し,その実験準備はほぼ完成している状況である。したがって,今年度は,オンライン実験の実施と,そのデータ解析を行う予定である。 なお,2019年度に実施した実験において,脅威画像への慣れやそれによる脅威画像に対する脅威反応の低下の可能性が指摘されたため,脅威画像の再選定し,慣れを防ぐため,脅威画像の種類を増やし,実験プログラムを作成しなおす対応も行った。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染拡大に伴い,予定していた対面による実験実施が難しく,研究計画の変更を余儀なくされたため,本来であれば実験参加者謝金や,実験者謝金などで利用する分の使用額を,次年度のオンライン実験で使用することとした。
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