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2020 年度 実施状況報告書

思春期世代における向社会性の発達的変化と社会的要因の影響

研究課題

研究課題/領域番号 19K03197
研究機関玉川大学

研究代表者

高岸 治人  玉川大学, 脳科学研究所, 准教授 (90709370)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2022-03-31
キーワード思春期 / 向社会行動 / MRI / 関係流動性
研究実績の概要

2020年度は新型コロナウイルス流行のため思春期世代を対象とした行動実験を実施することができなかっため、これまで収集してきた思春期世代参加者のデータの分析を行った。はじめに、社会的価値指向性(SVO)、および経済ゲームで測定された向社会行動のデータがある62名の思春期世代参加者を対象に向社会性の個性に関する分析を行った。思春期世代参加者のSVOを調べたところ、62名中40名がpro-socialに分類され、22名がpro-selfに分類された。またSVOごとに向社会行動と反応時間の関連が異なるかどうかを調べたところ、SVOでpro-selfに分類される子どもは意思決定に時間をかけるほど向社会行動を行うという関連が見られたが、pro-socialに分類される子どもにおいては向社会行動と反応時間の関連は示されなかった。これらの結果は、思春期世代においては成人とは異なる向社会性の特徴があることを示しており、思春期から成人期になるまでに直感型の向社会行動(時間をかけないほど向社会行動を行う)が形成されていくことを示唆している。また社会環境が思春期世代の子どもの脳構造へどのような影響を与えるか検討した。社会環境要因として対人関係形成の自由度である関係流動性に注目し、脳の灰白質体積との関連をvoxel-based morphometryによって調べた。分析の結果、関係流動性が低い社会で暮らす子どもほど右側頭頭頂接合部(rTPJ)の体積が大きいことが明らかになった。またrTPJの体積が大きい子どもほど出る杭は打たれるという信念を強く持つことも明らかになった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

新型コロナウイルス感染症の対応のため2020年に予定していた思春期世代を対象とした行動実験が中止となった。

今後の研究の推進方策

2021年度は実験が実施できるようになり次第、実験を実施することでデータを増やしていく予定である。

次年度使用額が生じた理由

新型コロナウイルス流行により予定していた実験を実施することができなかっため。2021年度は実験を再開することが出来次第、速やかに思春期世代における向社会行動のデータの収集を行う予定である。次年度使用額については行動実験に伴う参加者への謝礼に用いる。

  • 研究成果

    (9件)

すべて 2021 2020

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (7件)

  • [雑誌論文] Effect of dialogical appreciation based on visual thinking strategies on art-viewing strategies.2021

    • 著者名/発表者名
      Ishiguro, C., Takagishi, H., Sato, Y., Seow, A. W., Takahashi, A., Abe, Y., Hayashi, T., Kakizaki, H., Uno, K., Okada, H., Kato, E.
    • 雑誌名

      Psychology of Aesthetics, Creativity, and the Arts

      巻: 15 ページ: 51-59

    • DOI

      10.1037/aca0000258

    • 査読あり
  • [雑誌論文] A Review of the Effect of Oxytocin on Prosocial Behavior.2021

    • 著者名/発表者名
      Shou Q, Takagishi H
    • 雑誌名

      Tamagawa Brain Science Institute bulletin

      巻: 14 ページ: 20-27

  • [学会発表] 社会環境が思春期の子どもの脳構造に与える影響2021

    • 著者名/発表者名
      山田順子・宮崎淳・寿秋露・結城雅樹・松田哲也・高岸治人
    • 学会等名
      日本発達心理学会
  • [学会発表] 熟慮的な向社会行動を支える脳機能ネットワーク2020

    • 著者名/発表者名
      高岸治人・田中大貴・松田哲也
    • 学会等名
      日本社会心理学会
  • [学会発表] 一般的信頼と向社会行動の関連におけるオキシトシンの調整効果2020

    • 著者名/発表者名
      寿 秋露・高岸 治人
    • 学会等名
      日本社会心理学会
  • [学会発表] 向社会行動における意思決定過程の個人差の検討2020

    • 著者名/発表者名
      保坂太志・田中大貴・四本裕子・鮫島和行・高岸治人
    • 学会等名
      日本社会心理学会
  • [学会発表] 思春期から成人期後期にかけての向社会行動の発達2020

    • 著者名/発表者名
      山田順子・寿 秋露・松田哲也・高岸治人
    • 学会等名
      日本社会心理学会
  • [学会発表] 計算論モデリングを用いた社会的意思決定のメカニズムの検討2020

    • 著者名/発表者名
      田中大貴・高岸治人・松田哲也
    • 学会等名
      日本社会心理学会
  • [学会発表] ドーパミンD4受容体遺伝子多型と集団主義傾向の関連2020

    • 著者名/発表者名
      李 述氷・山田順子・仁科国之・高橋英彦・村山美穂・高岸治人
    • 学会等名
      日本社会心理学会

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公開日: 2021-12-27  

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