研究課題/領域番号 |
19K03201
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
山浦 一保 立命館大学, スポーツ健康科学部, 教授 (80405141)
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研究分担者 |
大坪 庸介 神戸大学, 人文学研究科, 教授 (80322775)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 妬み / シャーデンフロイデ / 役割内行動 / 役割外行動 / 資源分配 / ポジティブ感情 |
研究実績の概要 |
本研究の初年度(2019年度)は、組織の中で生じる妬みとそれに関連する感情について、2015年度以降に報告された論文を中心にレビューを進めた。その結果、妬みに関する研究は増加傾向にあるが、本研究が着目している「妬みの緩和条件」については、その解明の必要性は指摘されながらも十分な知見があるとは言い難く、引き続き検討が必要であると言える。 そして、このレビューの中で妬みに関連する感情として注目したのは、誇り(pride)と感謝(gratitude)である。どちらも妬みと異なってポジティブな感情とされるが、妬みよりも研究知見が蓄積されている。特に、誇りについては、妬みと同様、ポジティブな効果をもたらす側面とネガティブな効果をもたらす側面をもつとされており、その研究動向は本研究の展開とオリジナリティを示す上で参考にできると考えている。 このレビュー結果を踏まえ、妬みやそれに伴って生じるネガティブな現象を緩和する条件の解明を試みた。まずは、荒木・山浦(2017)を拡張し、チーム目標(個人目標の優先・集団目標の優先)× 役割付与(あり・なし)の2要因計画で、多面的な指標で緩和効果とそのメカニズムの示唆を得ることにした。現在、その結果を考察するとともに、方法論における改善などを含めて検討しているところである。 また、2019年度には上記のレビューと並行して、妬みに基づく資源分配について検討するべく独裁者ゲームを用いた分配実験を行った。しかし、妬みを反映した分配はほとんど観察されず、現在のところ、独裁者ゲームを用いた分配場面での社会的選好分類を検討した論文を発表するに留まっている。そのため、妬みを行動的にいかに測定するかに関しては、解決すべき課題が残されている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
先行研究のレビューを十分に行いつつ、本研究の目的に沿って研究計画およびその実施ができている。
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今後の研究の推進方策 |
今後、以下のことを遂行したい。 1.レビュー論文の内容を整理・吟味した上で、論文執筆を行いたいと考えている。 2.妬みの緩和条件について、方法論上の改良を行いながら、シナリオ実験を行う。 3.妬みを反映する行動を測定する以前に、状態としての妬み感情を測定する尺度、妬み特性を測定する尺度などを海外の文献で探し、それらの日本語版を作成することを目指す。 4.実験ゲーム場面ではなく、日常的な場面での妬みに基づく行動レパートリーを探し、それを用いたシナリオ実験などを行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
個人の身体的事由により、予定をしていた学会参加が叶わなかった(旅費分)。次年度(2020年度)の実験参加者への謝金、あるいは旅費として使用する予定である。
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