本研究は、高齢者を対象とした質的インタビュー調査と量的質問紙調査の混合研究法により、高齢期における社会関係の喪失と獲得のプロセスモデルを構築することを目的とした。中高年者が経験する社会関係の喪失と獲得が、どのような個人内外、あるいは環境要因によって生じるのか、また社会関係の喪失と獲得が主観的well-beingにいかにつながるかをモデル化し、高齢者の孤立や孤独の予防につながる知見を得ることを目指した。 最終年度は5月以降全面的に地域活動や交流が再開されたことから、昨年度末に実施した一般高齢住民対象の量的調査データの分析を進めるとともに、後期高齢者へのインタビュー調査を追加実施し、これまで収集したデータとあわせて論文の執筆、国内学会、国際学会における発表あるいは登録をすすめた。 研究期間全体では、1年目の終わりに発生したCOVID-19パンデミックにより当初計画を変更した。具体的には、感染症流行への備えとして生じた社会的接触の制限、あるいはICTを用いたオンライン活動や交流の広がりが、高齢者の社会活動や交流に与える影響および主観的well-beingへの影響について研究課題に取り入れた。当初計画に加え、オンラインでの社会活動や交流を行っている中高年者への質的インタビュー調査および量的調査を追加した。計画変更により、加齢や個人的なライフイベントのみならず、時代的、社会的な出来事、およびそれらへの対応が人々の社会関係の喪失や獲得を介して主観的well-beingへどのように影響をあたえるか、その個人差が何によって生じるかを分析した。 研究の成果として高齢期における自身および社会の変化に対するレジリエンス、社会活動や関係性の変化あるいは変化への抵抗がwell-beingに与える影響についての知見を深め、国内外の学会報告ならびに論文発表にいたった。
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