研究課題/領域番号 |
19K03207
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研究機関 | 首都大学東京 |
研究代表者 |
天野 陽一 首都大学東京, 人文科学研究科, 助教 (90571886)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 配偶者選択 / 婚活 / 社会的情報 / 進化心理学 |
研究実績の概要 |
2019 年度は研究初年度であることから,まずは高度情報化した現代の社会環境における配偶者選択の特徴について整理し,配偶者選択に関する先行研究と比較しながら,婚活のさまざまな局面において異性を評価する際にどのような情報が注目されているのかについて探索的に検討した。 婚活経験のある 25 歳~ 34 歳の男女 1,000 名を対象としたインターネット調査を行い,婚活の段階ごとに重視する条件とその理由について自由記述で回答を求めた。婚活の段階として,(1) プロフィールのチェック,(2) 「いいね!」やメッセージのやりとり,(3) 初デート・お見合い,(4) プレ交際,(5) 真剣交際,の 5 段階を設定し,社会的情報がどの段階で利用されているのかを調べた。婚活のとくに初期の段階において,身体的魅力や社会経済的地位といった先行研究で配偶魅力に影響することが報告されている要因に加えて,異性の人気を示す「いいね!」についての言及がみられた。現在,自由記述内容について詳しく分析中である。 婚活中の 25 ~ 34 歳の未婚男女 1,000 名を対象としたインターネット調査を行い,婚活において異性に求める条件の要求水準に影響する要因を検討した。一般的な婚活プロフィールに載っている項目のほか,社会的情報として「いいね!」に相当する人気の指標を取り上げ,婚活において社会的情報を参照しやすい人の特徴を明らかにすることを目的として研究を行った。婚活アプリの検索結果の画面を模した画像を呈示し,検索結果に表示されている項目と詳細プロフィールに表示されている項目のそれぞれについて,どの程度重視するかを 7 件法で回答を求めた。個人差変数として,(1) 配偶動機に関連する短期配偶への志向性,(2) 配偶戦略に関連する生活史,(3) 恋愛関係の流動性認知,(4) 異性魅力の自己評価,などを測定した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
さまざまなタイプの婚活サービスをカバーしたインターネット調査を実施するため,婚活の流れ・婚活サービスの特徴・婚活サービスの利用実態等についての事前調査を行った。この下準備に予想以上に時間がかかり,さらにインターネット調査の設計にも時間を要したものの,当初予定していた調査を実施することができた。現在行っているデータ分析が完了すれば,その成果をもとに次年度以降の研究計画を予定通り進めることができる。
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今後の研究の推進方策 |
2020 年度は,当初の予定通り,配偶者選択における社会的情報の影響力の強さと利用されるタイミングについての検討を行う。婚活プロフィールを用いた実験を実施し,婚活における社会的情報の寄与について,身体的魅力や社会経済的地位といった配偶魅力に影響することが明らかとなっている要因と比較する。また,収集済みのデータについて学会発表および論文執筆を行っていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
インターネット調査の準備・実施にかかる費用が見込みを上回ったため,当初の支出計画を一部変更した。次年度の実験において使用する消耗品に充てる予定である。
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