研究実績の概要 |
コロナ感染症の世界的拡大を受けて,当初3年計画であった当プロジェクトは2年の延長を経て、2024年3月に終了した。 5年間の研究期間に国内学会発表5本を発表した(「Web調査に潜む反応バイアス」日本心理学会2020年;「回答モニターはWeb調査と紙面調査で回答行動を変えるのか」日本心理学会2021年;「係留寸描法を用いた調査バイアスの検出および補正の試み」日本コミュニケーション学会2022年;「反応スタイルとSatisficeの関係性を探る:Web調査での回答モニターおよび学生の回答行動の比較を通して」日本応用心理学会2022年;「反応バイアスは何によってもたらされるのか:調査ツールおよび回答者属性の比較」日本行動計量学会2022年)。国際学会発表は2本行った("Negative Impacts of Response Styles on Measurement Invariance in Cross-Cultural Comparison Studies" 韓国心理学会2019年; 「日本人は変化しているのか-大規模調査データから見えてくる日本社会の現状-」JSAA-ICNTJ 2023年)。 研究論考の出版に関しては(「社会調査における測定の等価性」『社会と調査』(社会調査協会)2024年,「反応バイアスの検出とその補正」『心5理尺度の作成方法』(誠信書房)印刷中)の2本を行った。また現在,心理系学術論文の投稿に向けて原稿を準備中である。 本研究プロジェクトから明らかになった知見としては(a)Web調査と紙面調査では回答行動が異なり,Web調査で中間反応バイアスが顕著になること,(b)紙面調査や学生を対象とした調査では黙従反応バイアスが強くなること,(c)中間反応に関しては反応バイアスの結果生じるものとsatisficingの結果として生じるものの双方があること,(d)WeijtersらによるRIRSMACSモデルは反応バイアスの補正の効果的で, 補正することでDIF等のバイアス項目を減らせること,の4件に集約される。
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