研究課題
基盤研究(C)
本研究の目的は,Web調査データに潜む反応バイアスに着目し,インターネットという特殊な調査環境や「プロの回答者」(professional respondents)としての回答モニターの特性が調査の妥当性・信頼性に及ぼす影響を検討することである。Weijtersら(2008)によって見出されたRIRSMACSモデルを用いて,リカート尺度への反応バイアス(たとえば5件法のリカート尺度で中間的評価の3を好んで選択する傾向)を特定し,異なる調査環境(紙面調査や学生への調査)でその多寡を比較するとともに、RIRSMACSの補正力も合わせて検討する。
心理測定
住民基本台帳の閲覧制限や固定電話をもつ世帯の減少など社会環境の変化を受けて,留置法やRDD法などの従来の手法では社会調査の実施が困難になった。こうした背景からインターネットを利用したWeb調査が注目されるようになっているが,Web調査の特殊性がデータの妥当性や信頼性にどのような影響を与えるのかわかっていないことも多い。今後も増加することが見込まれるWeb調査の実態を把握し,調査の信憑性を高めるための研究や知見は社会的意義と共に学術的に高い価値がある。