研究課題/領域番号 |
19K03211
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研究機関 | 専修大学 |
研究代表者 |
小杉 考司 専修大学, 人間科学部, 教授 (60452629)
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研究分担者 |
国里 愛彦 専修大学, 人間科学部, 准教授 (30613856)
清水 裕士 関西学院大学, 社会学部, 教授 (60621604)
平川 真 広島大学, 人間社会科学研究科(教), 講師 (50758133)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | ベイズ統計 / 信念の更新 / 社会的態度 / 測定モデル / 自由エネルギー |
研究実績の概要 |
本研究の目的はベイズ推論と情報圧縮をキーワードにし,情報処理過程におけるカテゴリ化の合理性を理論,実験の両面から明らかにすることである。 初年度はベイズ統計学の歴史的系譜を情報統計学と心理統計学の二つの側面から捉え直し,ベイズと名のつく分析方法において本質的な特徴が何であるかについて議論を重ねた。結果的にどちらの系譜に限定することなく,応用シーンに合わせて適宜使い合わせていくこととなった。 2年度は大きな社会的状況の変化によって,それぞれがエフォートの大幅な縮小を余儀なくされた。その中でも不定期に連絡を取り合いながら,心理学における測定対象の実在論について議論を重ねてきた。特に測定モデルによって測定している対象を何と捉えるかについて,改めて社会心理学的な歴史を調べ直し,また尺度論について古典的テスト理論や公理論的アプローチを参照しながら意見交換を重ねた。尺度論で中核に位置する潜在変数モデルは,社会的態度を測定するものであると考えられており,また認識の共通次元を抽出する多変量解析である。この抽出される潜在変数の実在性をどう捉えるかは,モデルによって表されるものが何であるかという本研究テーマの中核的問題である。 今後引き続き概念的な整理を進めつつ,実際の測定モデルに具現化していく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今年度初頭から問題が顕現化した新型ウイルスによる生活環境の変化にともなって,研究教育環境も大幅な変化が求められた。研究チームはそれぞれ大学の教員であるから,研究よりも教育環境の保全,再構築にエフォートを必要とし,研究に予定していたエフォートが相対的に減じられたことが理由である。 また社会的移動にも制限があったため,計画にあった合宿型研究会が開催できず,オンラインによる不連続的なミーティングしか持つことができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
大きく研究環境が変化した中でも,オンラインで行えるようにして実験や調査を再開しており,調査実験班でも遅れを取り戻すことができるようになってきたと思われる。 シミュレーション研究も進展があり,現在論文として成果報告をまとめている段階である。 今後は昨年度後半に取得したデータをアウトプットしつつ,最終年度に向けて各メンバーの知見を統合的に議論する機会を持ちたいと考えている。状況や環境が許せば,当初の計画通り合宿型ミーティングや関係者を集めての研究会の開催を目指す。 既に研究を展開する方向性は視野に入ってきているが,ひとまずは本研究課題についての総括ができるように準備を進めていきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初計画していた移動に関する国内旅費がほとんど執行できなかったため,次年度に繰り越すこととなった。 次年度も外国旅費を計上しているが,予定いていたMathPsychがオンライン開催になることが決まっている。 これらの状況を鑑み,また計算環境の増強が必要であるとの考えから,AmazonWebServiceやGoogleComputerEngineなど仮想環境でのコンピュータ利用経費を増やし,研究環境の構築に活用することを予定している。
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