本研究の目的は、継続する自然災害下で生活する2000年三宅島噴火の被災者を対象とし、被災者の精神健康状態や生活再建プロセス、支援対策の問題に焦点をあて、包括的に継続する自然災害下の被災者の災害からの回復プロセスについて解明することであった。以上のような本研究の目的を達成するため、最終年度にあたる2022年度は、昨年度実施した本調査の結果を整理、分析し、最終報告書としてまとめた。本研究における研究成果は研究協力者へフィードバックを行った。また本研究で見いだれた知見について学会発表や学術論文で公表した。具体的には下記の通りである。 1.昨年度実施した本調査の結果について、被災者の精神健康と生活再建状況のデータについて整理および多変量解析を行い、被災者の精神健康状態の把握や精神健康の回復に寄与する諸要因の分析を行った結果等を最終報告書にまとめた。 2.本研究の結果では、2000年三宅島噴火の被災者の災害から20年後の精神健康は依然として半数以上に精神健康の悪化が認めれた。また被災者の精神健康の回復を抑制している要因として、生活の中で生きがいや打ち込めるものがないこと、ストレス解消法をとりいれていないこと、生活再建状況や将来に対する見通しについてネガティブな認知をもっていることなどが認められた。 3.本研究で見出された結果については、東京都三宅村役場を訪問し村長および関係部局に報告を行った。その際に本研究の調査結果から見出されたデータを踏まえながら、被災者の精神的問題の回復に寄与する被災者支援策の可能性について検討した内容についてもフィードバックを行った。 4.本研究の成果については日本応用心理学会第87回大会で学会発表を行った。また本研究の成果のまとめについては帝京大学観光経営学科の大下茂教授にご協力を賜り学術論文としてまとめ、研究代表者の所属する大学紀要において報告を行った。
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