研究課題/領域番号 |
19K03221
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
外山 美樹 筑波大学, 人間系, 教授 (30457668)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 制御焦点 / 進捗モニタリング / 目標追求 |
研究実績の概要 |
本年度は,制御焦点と進捗フレームが目標追求に及ぼす影響について検討した。目標達成に関する進捗の捉え方としては「どこまでやり遂げたのか」といった,これまでに進んだ距離に視点を向ける「to-date(これまで)」フレームと「あとどれだけやらなければいけないのか」といった,目標までの距離に視点を向ける「to-go(これから)」フレームがある。Koo & Fishbach(2008)は,目標の重要性が比較的低い場合(研究1では,選択科目の場合)は,「to-date」条件の方が「to-go」条件よりも試験勉強に対する動機づけが高いが,目標の重要性が高い場合(研究1では,必修科目の場合)は,逆に「to-go」条件の方が「to-date」条件よりも試験勉強に対する動機づけが高いことを示した。本研究では,これらの効果において,制御焦点(regulatory focus)が調整変数となりうるのかどうかを検討することを目的とした。1年目の研究において,促進焦点(promotion focus)の個人は「to-go」フレームの方が「to-date」フレームよりも,防止焦点(prevention focus)の個人は「to-date」フレームの方が「to-go」フレームよりも目標追求に対する動機づけが高いことが示された。そこで,今年度は,客観的な指標(行動指標)を用いて検討した。実験参加者は大学生75名であった。本研究の結果より,仮説が支持され,目標の重要性が高い場合における進捗フレームが目標追求に及ぼす影響において,制御焦点が調整することが示された。 また,本年度は1年目に実施した研究と今年度に実施した研究を英語論文にまとめて,投稿した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初予定した研究の2つのうち,1つしか実施することができなかった。それは,新型コロナウイルスの感染拡大の状況下において,中学校でデータをとることが難しかったことによる。 ただし,1つの研究は予定通り実施することができ,前々年度に実施した研究と併せて論文を投稿することができた。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度作成した小学生用(あるいは中学生用)の制御焦点尺度を用いて,制御焦点の発達について検討するとともに,小学生あるいは中学生を対象にして,制御焦点と学習方略が適合した時に,高い学業成績(テストの点数)を収めるのかどうかを検討する。現在の状況(新型コロナウイルスの感染拡大の状況)によっては,学校で調査をすることが難しくなることが考えられるので,web調査を実施する予定である。 また,大学生を対象にして,欲求支援行動と欲求充足ならびにwell-being(あるいはパフォーマンス)との関連において,制御焦点が調整変数として働くのかど うかを検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウィルス感染拡大の状況下で,当初予定していた実験や調査ができなかったため。 また,新型コロナウィルス感染拡大の状況下で対面での学会がなくなったため,旅費を使用しなかったため。
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