研究課題/領域番号 |
19K03228
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研究機関 | 滋賀大学 |
研究代表者 |
若松 養亮 滋賀大学, 教育学部, 教授 (50273389)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 進路意思決定 / 大学生 / 就職活動 / 職業の意義 |
研究実績の概要 |
「楽しく働くとはどういうことか」について、予備調査における自由記述のカテゴリ類型に基づいて、評定法による質問項目(全22項目)を作成し、教員養成学部3年次生(有効回答214名)を対象に、後述する他の尺度と併せて質問紙調査を行った。この尺度は4因子に分けることができ、彼らのもつ含意のおおよそをカバーする尺度となったと考えられる。ただこの尺度への反応(楽しく働くために「5.ものすごく大切」~「1.大切ではない」の5段階)は得てして高い方に偏る結果となったので、その妥当性の再検討が必要である。今回の調査では、予めその傾向が予想されたので、22項目への評定に続いて「楽しく働くためには譲れないと思うものを3項目」と教示して選ばせていたことから、彼らの含意のおおよその重要性が把握できた。 他の指標との関連について。因子1(職場での努力と成長)を重視している人は教職を志望する程度が強く、意思決定への関与は低くなく、働くことの意義のうち「役割の実現」や「個性の発揮」を強く考えていた。それに対して因子4(仕事量と切り替え)を重視している人ほど教職を志望しない人が多く、進路意思決定に関しては早期からの見通しをもたない傾向が見られた。これらのことをまとめると、教職を志望する学生はそうでない学生に比べて、教師という仕事から得られる達成感や成長を楽しめると考えている人たちであり、他方、教師の仕事の多さやワークライフバランスの悪さを楽しく働くための条件と考えている人たちは教職を選択しないと考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
「楽しく働く」ことの含意を測定する尺度を作成したが、多くの人がほとんどの項目に高い評定をしていたという結果が、実態を正しく反映するものなのか、または調査時の気分や協力への態度からくる惰性の表れなのかが充分に見極められたとはいいにくい。測定方法について、より工夫をする必要を感じているため。
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今後の研究の推進方策 |
尺度内容や測定方法の再検討を行い、妥当性を見極めることから始めたい。当初の計画においては教育実習や就職活動の経験による変化を質的に検討することを挙げており、そちらにも進みたいが、新型コロナウイルスによる活動自粛や大学への登校抑制などにより、現在ではそれが始められずにいる。状況の推移を見ながら、可能になったらすぐにスタートさせられるように準備しておく。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルスによって年度末の研究会が1回、学会大会が1回、開催されなかったため。
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