研究課題/領域番号 |
19K03234
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研究機関 | 横浜市立大学 |
研究代表者 |
平井 美佳 横浜市立大学, 国際教養学部(教養学系), 准教授 (60432043)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 自己と他者の調整 / 父親 / 乳幼児 / 家庭と仕事 / 新型コロナウイルス感染症 |
研究実績の概要 |
本研究は,子育て期の男性がどのような「自己と他者の調整」を行うかについて検討を行うことであった。当初の計画では,父親としてどのように変化・発達していくのかについて縦断的に検討する計画であったが,新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の蔓延という世界的危機にあたり,前年度に計画していた調査をそのまま実施するのは困難であると判断された。しかし,この歴史的出来事を「機」と捉え,コロナ禍により「ステイホーム」となったことが男性たちの家族や仕事への関わりにどのような影響を与えたかを調査することによって,本研究の大きな目的は部分的に果たされ得ると考えられた。なぜなら,これまで日本の父親の家事育児参加が極めて少なく,労働時間が長いことが問題となってきたが,コロナによる緊急事態宣言により一部の父親らは家庭に長く滞在することとなったからである。 そこで,乳幼児を子育て中の正規雇用で働く父親606名を対象として2020年8月に調査を行い,新型コロナウイルス感染症の流行による働き方の変化が,家庭や仕事への関わりにどのような影響を与えたかついて検討した。 その結果,(a)在宅勤務が増えたのは一部の限られた条件(デスクワーク,高学歴,高収入,など)の男性たちであり,(b)在宅勤務への変化があった男性の方が「家族する」程度が増え,(c)働き方の変化があった男性,また,妻も働いている男性の方が夫婦および仕事の調整を行っており,さらに,(d)在宅勤務が増えたことにより「家族する」程度が増えたことが,家庭および仕事の満足度,ひいては生活・人生満足度を高めたことが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度はコロナ禍の状況的変化に対して臨機応変に対応し,この機を捉える研究を実施することができた。しかしながら,当初計画したような個人個人の変化を捉える縦断的調査は開始できていない。
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今後の研究の推進方策 |
新しい日常が始まって1年以上が経過したことから,調査を開始するにしてもよいと判断される。ただし,未だ感染拡大状況にあることから,方法についてはオンラインを駆使するなどの検討を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
まず,前年度における次年度使用額があった。また,コロナ禍によって学会発表等のための旅費が発生しなかった。本年度は調査会社を利用した大規模な調査を行い,本年度の交付決定額を超える支出があったものの,前述の理由から依然として未使用の額が生じた。
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