研究課題/領域番号 |
19K03237
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研究機関 | 目白大学 |
研究代表者 |
河野 理恵 目白大学, 人間学部, 准教授 (40383327)
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研究分担者 |
河野 保子 人間環境大学, 松山看護学部, 教授 (80020030)
中島 紀子 人間環境大学, 松山看護学部, 准教授 (20325377)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 高齢者 / ライフスタイル / 生活満足度 / 社会的つながり / 孤独感 |
研究実績の概要 |
2019年度は、心理社会的なライフスタイル(生活習慣)が心理的諸特性にどのように影響するのかについて明らかにすることを目的として研究を実施した。A県B地区の準限界集落に居住する高齢者398名に調査を依頼し、344名から回答を得た。そのうち、回答に不備が少ない304名(男性124名、女性180名)を分析の対象とした。前期高齢者は144名(男性63名、女性81名)であり、平均年齢は69.40歳(±2.68)、後期高齢者は160名(男性61名、女性99名)であり、平均年齢は82.61歳(±5.28)であった。 ライフスタイル(芳賀、1996)の2側面(社会的健康・心理的健康)が生活満足度(古谷野・柴田・芳賀・須山、1990)に及ぼす影響を明らかにするために、それぞれのライフスタイルが社会的つながり(尺度を独自に作成)、孤独感(舛田・田髙・薹、2012)を経由して生活満足度に寄与するという仮定モデルに沿って、構造方程式モデリングを探索的に実施した。適合度指標を通じてモデルのデータへの当てはまりの度合いを検討したところ、適合度は概ね良好な値を示した。次に、前期高齢者と後期高齢者においてモデル構造に違いがあるのかを確認するために、同モデルを用いた多母集団の同時分析を行った。その結果、前期高齢者、後期高齢者ともに、社会的健康から社会的つながりへの有意な正のパス、社会的つながりから孤独感への有意な負のパス、孤独感から生活満足度に有意な負のパスが見られた。また、心理的健康から孤独感へ有意な負のパスも見られた。一方、後期高齢者においてのみ、心理的健康から社会的つながりと社会的健康への有意な正のパスが見られ、後期高齢者の心理的健康を重視していくことの必要性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2019年12月までの研究状況は、概ね計画通りであり、A県B地区の保健福祉課の職員と現地で打ち合わせを複数回行い、調査を円滑に実施した。 2020年1月以降も、前述した研究協力機関との関係を継続し、同様のやり方で調査を実施していく予定であったが、2020年1月頃から新型コロナウイルスの影響により、打ち合わせのために他県へ移動できず、様々な研究協力者との詳細な打ち合わせができない状況にある。そのため、2020年度の調査実施に関する具体的な遂行方法の検討、及び実施に遅延が生じている。 加えて、2020年度の調査では準限界集落に居住する高齢者のライフスタイルをさらに詳細に検討していく予定であるが、高齢者への調査依頼、及び面接などでの接触がいつくらいから実施できるのかについて予定がたたない状況が続いており、安全に調査を実施するための検討が続いている。
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今後の研究の推進方策 |
現在、2019年度に実施した調査の分析と考察を行っている段階であり、この結果を正確に把握することが最優先課題であると認識している。 また、2020年度は2019年度の調査結果をもとに、高齢者のライフスタイルについてさらに詳細な検討を進めていく予定である。毎年、調査データを積み重ねることによって、最終年度である2022年度において、準限界集落に居住する高齢者の心理社会的モデルの構築を目指していく。 その一方、新型コロナウイルスの影響により、研究協力機関との打ち合わせの形態を変えていく必要があり、オンラインでの会議などを計画中である。また、高齢者への安全な調査の方法も検討する必要があり、研究分担者である看護領域の研究者とともに、最善策を模索していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由)2019年度末に2020年度の調査において使用するノート型パソコンを購入する予定であったが、パソコンのモデルチェンジの時期を踏まえ、2020年度初頭にパソコンを購入することにしたため、次年度使用額が生じている。 (使用計画)2019度から繰り越した直接経費に関しては、2020年4月にすでにノート型パソコンを購入し、使用している。2020年度と2021年度において、研究打ち合わせ、及び研究実施のために準限界集落への交通費、宿泊費などを計上している。しかしながら、新型コロナウイルスの影響により、いつ東京都から限界集落のある他県に飛行機や電車などを利用して移動できるのかが不透明な状況である。そのため、それらの旅費をオンラインで会議を行うための物品購入、及び双方向での会議システムZoomなどの契約料に振り替えていくことも検討している。また、2019年度のデータを詳細に分析するために、2020年度では分析ソフトであるSPSSの購入を予定している。
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