研究課題/領域番号 |
19K03237
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研究機関 | 目白大学 |
研究代表者 |
河野 理恵 目白大学, 心理学部, 准教授 (40383327)
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研究分担者 |
河野 保子 人間環境大学, 松山看護学部, 教授 (80020030)
中島 紀子 人間環境大学, 松山看護学部, 教授 (20325377)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 高齢者 / ライフスタイル / 生活満足度 / 孤独感 / 社会的つながり |
研究実績の概要 |
2021年度は、準限界集落に居住する高齢者のライフスタイルを分類し、そのタイプごとに生活満足度や孤独感、世代性(ジェネラティビティ)の様相を検討することを予定していた。しかしながら、新型コロナウイルス感染拡大の影響により、東京から研究フィールドを予定していた他県の限界集落へ飛行機、バス、電車などを利用して移動することが実質的に不可能であったとともに、準限界集落の自治体から地域への訪問を検討するように依頼された。そのため、2021年度の調査研究はほとんど実施することができない状況に置かれた。 このように調査研究はほどんど実施することができなかったものの、2021年度は2019年に実施した準限界集落に居住する高齢者304名に対する調査データを分析し、以下のような特徴を確認した。1. 前期高齢者と後期高齢者ともに、主観的健康度が社会的なライフスタイルと他者との関係を介して、生活満足度を高めるとともに孤独感を低めていた。2. 生活満足度と孤独感には負の関係が見られた。3. 前期高齢者では、主観的健康度が心理的なライフスタイルを介して生活満足度を高めていたが、後期高齢者では、主観的健康度が心理的なライフスタイルと他者との関係を介して生活満足度を高めていた。この結果を投稿論文としてまとめ、日本老年行動科学会が発行している「高齢者のケアと行動科学」に投稿したところ採択となり、2022年度の学術雑誌に掲載予定である。 また、研究分担者と共に準限界集落や高齢者の生活満足感、孤独感などに関する文献研究を行うとともに、コロナ禍における研究実施の在り方を準限界集落の自治体と打ち合わせ、2022年度における調査研究の実施方法について検討した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
2021年度は新型コロナウイルス感染拡大の影響により、研究フィールドに予定していた他県の準限界集落へ調査のために移動することができなかったとともに、準限界集落、及び高齢者への衛生管理を重視したため、準限界集落へ立ち入ることも不可能であった。また、調査を依頼している限界集落の地方自治体の職員の方々も新型コロナウイルスの感染予防対策のため多忙であり、調査に関する打ち合わせを行う時間も十分にとれない日々が続いた。 2022年に入ってから、準限界集落を統括している県がまん防止等特別重点措置の要請を国に行わなく、移動の制限が緩和されてきたと考えられるため、感染予防を徹底して調査を実施する方法を研究分担者とともに検討中である。
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今後の研究の推進方策 |
新型コロナウイルス感染者が「0」ではない現在の状況下において、実施を予定していた準限界集落に居住する高齢者のライススタイルについて、現実的に研究の遂行が可能となる方法を模索していくことが必要である。 現在、準限界集落を統括している自治体と打ち合わせを行い、高齢者の方に直接会わずに調査を実施する方向を検討している。また、研究の実施が遅れているために、当初は比較的人口が多い準限界集落の1地区のみを調査対象に想定していたが、隣接する2つの準限界集落の地区も調査対象として含め、研究を行っていくことを計画している。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由)2021年度は、新型コロナウイルス感染拡大の影響により、準限界集落における地方自治体職員と対面での打ち合わせができなかったことに加え、高齢者の方への調査も実施できなかった。そのため、東京都から準限界集落のある地方都市への飛行機、電車、バスなどの交通費や調査にともなう宿泊費などの出費がなく、次年度の使用額となっている。 (使用計画)2022年度においては、新型コロナウイルスへの感染予防対策を十分に行い、現地での調査を実施する予定である。そのため、当初は想定していなかった衛生管理に関する物品を購入するとともに、準限界集落へ移動するための交通費、及び宿泊費などを予定している。
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