日本と米国の代表的な絵本・児童書に関しては図書館の推薦リストを元に入手したが、中国に関してはリストが入手できず断念した。日米比較を行うため、コーディング・スキーマを開発し、登場人物、経験と出来事、エンディングを中心に分析を行った。分析の結果、米国の絵本・児童書にはハッピーエンドが多いほか、個に焦点を当てた作品が多いこと(主人公に固有名詞を与える傾向が強いこと)、日本の絵本・児童書にもハッピーエンドが多いものの、死や別れといった悲しいエンディングも見受けられることが見出された。全般的に年少向けの子どもの本では文化差は目立たないものの、年長の子ども向けの絵本・児童書になると、アメリカでは差別との闘いや多様性、日本では戦争や自己犠牲といった、より深刻なテーマが現れてくることが明らかにされた。
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