研究課題/領域番号 |
19K03239
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研究機関 | 聖徳大学 |
研究代表者 |
山口 豊一 聖徳大学, 心理・福祉学部, 教授 (10348154)
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研究分担者 |
松嵜 くみ子 跡見学園女子大学, 心理学部, 教授 (30181712)
田中 大介 昭和大学, 保健医療学部, 教授 (30296983)
久保田 健夫 聖徳大学, 児童学部, 教授 (70293511)
飯田 順子 筑波大学, 人間系, 准教授 (90383463)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 学校心理学 / アウトリーチ / 教育・心理・医療の協働体制 / 発達障害 / 幼稚園・小学校との連携 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、心理職(臨床心理士・公認心理師等)と小児科医が幼稚園および小学校の担任教諭や保護者と協働し、発達障害傾向の子どもの早期発見・介入をめざし、問題を包括的かつ、効率的に解決するためのモデルを構築することである。 行政と連携し、支援が必要な子どもをに対して心理職と小児科医が幼稚園あるいは小学校を訪問し(アウトリーチ)、対象児の日常生活を観察、必要に応じて知能検査等を実施、学校(管理職、担任教諭、養護教諭等)や保護者とチームを組んで支援策の検討を行う。定期的に訪問を継続すること、そして日常生活を観察することで、対象児に合った具体的で実現可能な目標設定を置くことができ、より効果的な支援が可能となる。教育を支える多職種協働支援体制がどのような効果があるのかについて検証し、予防的観点を特別な教育的支援の必要な子ども(発達障害傾向の子ども)の早期発見・介入による包括的な支援の実施に向けた効率的なモデル構築を行うことが重要であると考えられる。 令和元年度の研究の成果として、一つにA市のB幼稚園における「発達障害傾向の子をもつ保護者と語る会」に、心理士、医師と出向いて、月一回程度の研修会を実施した。その会には、保護者5~6人、幼稚園園長、主任が参加して、グループコンサルテーションの形態で支援した。二つに、C市の小学校における発達障害傾向の子どもに対するアウトリーチ型支援を実施した。心理士と医師で小学校に2回出向いて、支援を実施した。この二つの実践を通して、保護者、心理職と医師、教育・保育者がそれぞれ専門性からの見立てと手立てを話し合うことで、要支援の発達障害傾向児、その保護者・保育者・担任などの関係者の支援につながり、ひいては要支援の発達障害傾向の子ども自身の支援つながったと考える。支援の方法について一定の確認ができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和元年度は、幼稚園、小学校に心理士と小児科医が出向いて、保護者や教職員とチーム会議を開いて、それぞれの専門性の観点から互いに意見を交わした。そして、心理職・医療職・教育職との協働による支援の方法、課題もある程度確認できた。しかし、実践の回数が少なかったことが課題であった。また、機材(PC、オンライン会議用カメラ、心理検査用具等)の準備不足もあり、心理検査やオンライン会議(チーム会議)が実施できなかった。
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今後の研究の推進方策 |
令和2年度は、小児科医等との協働を進めるにあたって、特にオンラインによるアウトリーチ型支援の実践を推進していきたい。そのため、ノートパソコン、オンライン会議用カメラを準備して、小児科医等との協働を進めるにあたって実際の支援に役立てたいと考えている。 また、発達障害傾向の子どもをもつ保護者や、実際に支援を行っている教員などに対してインタビュー調査を行い、アウトリーチ型支援の利点や課題について明らかにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
オンライン会議用のノートパソコン、心理検査用道具(新版K式、WISC―Ⅳなど)の購入が遅れた。そのため、予算の執行が少なかった。令和2年度は、ノートパソコン、統計解析ソフト、オンライン用カメラ、心理検査用道具を購入して、研究を推進する予定である。
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