研究課題/領域番号 |
19K03239
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研究機関 | 聖徳大学 |
研究代表者 |
山口 豊一 聖徳大学, 心理・福祉学部, 教授 (10348154)
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研究分担者 |
松嵜 くみ子 跡見学園女子大学, 心理学部, 教授 (30181712)
田中 大介 昭和大学, 保健医療学部, 教授 (30296983)
久保田 健夫 聖徳大学, 児童学部, 教授 (70293511) [辞退]
原田 正平 聖徳大学, 児童学部, 教授 (70392503) [辞退]
飯田 順子 筑波大学, 人間系, 准教授 (90383463)
宮川 三平 聖徳大学, 教育学部, 教授 (50110937)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 多職種協働支援モデル / 教育・心理・医療の連携 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は教育・心理・医療によるアウトリーチ型多職種協働支援モデルを構築することである。そこで心理職ならびに医師の2名の専門家が,発達障害傾向がみられる子どもをもつ親の会へ参加し,データを収集した。そして収集されたデータを,「心理職,医師による保護者と幼稚園教諭へのコンサルテーションにおける影響関係と相互作用」という分析テーマに即し,M―GTAを用いて分析した。 その結果,基本となる概念を生成するために実施した逐語データの分析では,“子のイマジネーション力不足の悩み”,“子の対人相互的交流の悩み”等を含めた8つの説明概念が生成された。さらに,内容のまとまりという観点から概念化を行ったところ,発達障害傾向がみられる子どもを持つ親の会で得られた語りについては<保護者の悩み>,予定を事前に伝える等の専門家の語りは<専門家的視点>,専門家から専門的な助言を貰えて安心感がある等の語りは<専門家が参加する利点>,発達障害や病名等の直接的表現は避けてもらいたい等の語りは<会の改善点>と,4つにカテゴリー化された。以上を踏まえ,<専門的視点>を提供するという働きかけが,<専門家が参加する利点>を生じさせるために重要であることが示唆された。また,“間接的表現の使用”や“話題設定”は<保護者の悩み>が話しやすくなる等の影響を及ぼし,発達障害傾向がみられる子どもをもつ親の会の質を向上させる可能性が考えられた。今後,継続的に専門家が発達障害傾向がみられる子どもをもつ親の会へ参加し,会ごとのテーマ設定や間接的表現を用いることによって,どのような影響があるか検討していく必要が推察された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナ感染拡大の影響により、研究協力をお願いしている機関への訪問や調査実施が困難になった。それに加えて、研究者並びに研究助手が研究作業を行うことも困難な環境となったため、研究の進捗が遅れることとなった。 昨今、新型コロナ感染拡大の対策が整うにつれて、オンライン(Zoom)を介して研究や調査実施を行えるようになり少しづつではあるが新型コロナ感染拡大前の研究ペースを取り戻しつつある状況となっておる。
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今後の研究の推進方策 |
今年度、研究の最終年度に向けて、収集してきたデータの分析・考察を進めることを念頭に置き、研究を実施していく。 それに合わせて、オンライン(Zoom)によるアウトリーチ型支援の質的データを加え、分析・検討を進める。その結果を、学会での発表(ポスター等)や学会の論文発表につなげていく予定である。また、研究成果を、研究報告書にまとめる作業を進めたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症拡大により、連携幼稚園に出向いて(またはオンライン)でのアウトリーチ型支援が困難な状況であったため、予算執行が困難であった。そこで、2023年度は、オンラインまたは訪問による調査・実践的研究を進めるよう計画の変更を行った。そのため次年度使用額が生じて、前述のような計画で本年度研究を進める予定である。
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