芸術家を研究対象とすることは,時代の変化の最先端において彼らがどのように変化に対応し,高い創造性を維持し,新たな作品という価値を創造できるのかについて解明することである。それはすなわち,専門領域に習熟しているが故に創造性が低下するといったような,熟達と創造のトレードオフの問題について,芸術家がどのように対処しているのかを解明することに貢献する。加えて,プロフェッショナルの創造過程や創造的な熟達過程の解明は,専門教育への応用に留まらず,急激なスピードで変化し多様化する社会的価値に対応して,柔軟な発想で新たな価値を創造する21世紀型の人材育成を目指す教育現場への応用も期待される。
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