研究実績の概要 |
本課題の最終年度は,研究成果の論文発表とその成果に続けて,さらなる実験を行った。 論文発表 対連合学習をコンピュータ画面の偶発的文脈による促進方法を調べた。対連合学習は,外国語と日本語の対連合学習と顔と名前の対連合学習を調べた。コンピュータ画面の偶発的文脈として,5秒間のビデオクリップ(動画+音)を用いた。まず,30個のイタリア語と対応する日本語対を,2回反復学習し,2回とも同じビデオ背景で反復する条件と,それぞれ異なるビデオ背景で反復する条件を比較した。対連合学習成績は,刺激項のみを印刷した用紙の横に,反応項を書くという方式を用いた。これまで,反復における偶発的文脈が同じ条件と異なる条件の自由再生を比較した研究がある。単純場所文脈(場所の物理的特徴のみの操作)では,異なる文脈間での反復が有意であったが(Glenberg, 1979; Smith, Glenberg, & Bjork, 1978),複合場所文脈(場所,副課題,社会的要因の組み合わせ操作)では,同文脈内反復が有意であった(漁田・漁田, 2005; Isarida & Isarida, 2010)。ビデオ文脈の場合,同文脈内反復が有意であった。そこで,30個のイタリア語-日本後対を,同じ文脈内で4回反復した。比較のために,ビデオの静止画(背景写真)の効果も調べ,統制群として中間灰色の効果と比較した。その結果,ビデオ≒写真>灰色となり,ビデオおよび写真の促進効果を見いだした。さらに,顔と名前の対連合でも,ビデオおよび写真の促進効果を見いだした。この成果を,Quarterly Journal of Experiemntal Psychology誌(5-year Impact Factor = 2.571)に投稿し,1回の改稿を経て採択され,2021年9月に刊行された。
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