研究課題/領域番号 |
19K03249
|
研究機関 | 静岡県立大学短期大学部 |
研究代表者 |
小林 佐知子 静岡県立大学短期大学部, 短期大学部, 教授 (20630651)
|
研究分担者 |
松本 麻友子 神戸親和女子大学, 発達教育学部, 准教授 (00771693)
橘 春菜 名古屋大学, 教育基盤連携本部, 特任准教授 (10727902)
中島 奈保子 修文大学短期大学部, 修文大学短期大学部, 講師 (10831141)
梅田 弥玲 (松岡弥玲) 愛知学院大学, 心身科学部, 講師 (30571294)
内山 有美 四国大学, 生活科学部, 講師 (60735843)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
キーワード | 育児動機づけ / シングルカテゴリIAT(SC-IAT) / 父親 / 母親 / 育児への感情 / 大学生 |
研究実績の概要 |
育児は親の義務という社会通念がある中で、なぜ育児に向かわない親がいるのであろうか。このリサーチクエスチョンに対し、本研究は”動機づけ(motivation)”に着目し、意識的・非意識的の両面から育児行動のメカニズムを解明すること、また、育児動機づけの促進・低減要因を明らかにすることを目的としている。
令和2年度は、非意識的な育児動機づけを測定するためのシングルカテゴリIAT(SC-IAT)尺度の開発を行った。本研究が開発するSC-IATは言語刺激を用いる言語版、イラスト刺激を用いるイラスト版の2種類がある。初めに、令和元年度の予備調査で収集したイラスト刺激の候補の中から共同研究者とともに10点を選定し、育児経験者に妥当性を確認した上で最終的に7点を選定した。この結果の成果発表を行った。並行して言語刺激の選定を行った。次に、意識的な育児動機づけや、育児動機づけの関連要因、育児行動を測定するための心理尺度の選定および作成を行い、令和3年度の本調査の準備を進めた。さらに、SC-IATはパソコン画面上で行う心理実験の手法を用いるため、試用版の予備実験を開始した。他方、本研究の幅広い年齢層への応用を見込んだ発展的研究として、SC-IATのイラスト刺激を用いて、幼児をもつ父親・母親および育児経験のない大学生を対象に育児への感情と意識的な育児動機づけの関連性を調べた。大学生データの分析結果から、育児への感情と育児動機づけが関連することや育児経験がそれらの促進要因であることが示された。この結果の成果発表を行った。令和3年度には国際学会での発表および論文を学術誌に投稿する予定である。 なお、令和3年度に実施する本調査が新型コロナウイルスの影響により実施困難になることに備え、Web形式で実施できるよう準備を進めた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の研究計画に沿って、非意識的な育児動機づけを測定するためのSC-IAT尺度を完成した。イラスト刺激について育児経験者に妥当性を確認した結果を学会発表した。令和3年度はSC-IATの心理実験と質問紙を組合せた本調査を実施し、成果発表をしていく。 また、SC-IATで使用するイラスト刺激を活用し、イラスト刺激から喚起される感情価は育児動機づけとどのように関連するのか、親及び大学生を対象に質問紙調査を行った。大学生の分析結果をまとめて学会発表を行った。令和3年度には学術雑誌に投稿する予定である。親の結果については国際学会発表と国内学術誌への論文投稿を予定している。
|
今後の研究の推進方策 |
令和3年度5-6月に実施する本調査のデータをもとに、研究の全体モデルに沿って、育児行動の生起メカニズムと関連要因について検証していく。本調査は要因間の因果関係を明らかにするために、継時的に2回に分けて実施する。データ収集後は速やかに分析を開始し、成果を国内学会での発表および学術誌への論文投稿を行う。 新型コロナウイルスにより幼稚園や保育所での対面によるリクルートや調査の実施が困難という問題に対応するため、調査会社に依頼してWeb形式で自宅のパソコンから調査に参加できる方法を準備している。これにより、コロナ禍でも対面式と同様の結果が得られる予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
研究成果を発表した日本心理学会大会および日本発達心理学会大会がWeb開催になったこと、同理由で共同研究者との打合せを対面式からZoomによる遠隔式に変更したことにより、当初計画していた旅費の多くが未使用となった。一方、本調査をWeb式に切り替えると本調査の調査費および技術面での研究協力者への謝金が大幅に増加する。そのため、旅費の一部を次年度の調査費や謝金として使用する予定である。
|