研究課題/領域番号 |
19K03250
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研究機関 | 宮城教育大学 |
研究代表者 |
飯島 典子 宮城教育大学, 教育学部, 准教授 (40581351)
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研究分担者 |
池田 和浩 尚絅学院大学, 総合人間科学系, 准教授 (40560587)
小泉 嘉子 尚絅学院大学, 総合人間科学系, 教授 (80447119)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 幼児教育 / 感情理解 / 実行機能 / 絵本 / ひらがな読み |
研究実績の概要 |
気持ちの変化が描写された絵本の読み聞かせの効果を測定する前課題として、絵本の重要な部分(登場人物の表情)に注意を向けるために必要だと考えられる実行機能について、5歳児クラスを対象に実行機能の個別テストを行った。その結果、注意の抑制およびワーキングメモリーに困難さを抱える幼児を判別することができた。この結果から、幼児教育場面における幼児の実行機能を教師が評価する実行機能尺度の開発に着手した。また、実行機能に困難さを示す幼児はひらがなの読み課題にも困難さを示す傾向にあり、感情語の理解だけでなく言葉の発達全般に対する支援の必要性が示唆された。実行機能に困難さをもつ幼児は気持ちが描写された絵本を読むことが難しいことが推察され、その支援方法としてテクノロジーの活用が考えられる。小学校以降の教育場面ではテクノロジーを活用した学習支援が行われている、幼児においても適用できるかどう幼児のテクノロジーの活用の実際について検討を行った。その結果、5歳児ではタブレットの基本的操作を身に付けることが可能であるだけでなく、遊びを豊かにする道具として活用できることが明らかとなった(「遊びを通じたICT活用力を育む幼児教育の実践」日本教育大学協会研究年報など)。 絵本における登場人物の適切な表情への視線に関する分析は、open faceを用いて分析を試みた。当初は別のソフトを利用する予定で作成した絵本であったため、open faceを用いて分析するためには絵本の再作成が課題として残り、改善を検討しているところである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルス感染症の感染拡大がこれまで以上に深刻となり、幼児教育現場に入って絵本読み活動等の保育実践を調査することが極めて困難な状況になった。また、録画した画像を用いた視線判定をopen faceを使って分析することを試みたところ、このシステムを使用する場合はデータ収集の方法から見直しが必要であることが判明したため。
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今後の研究の推進方策 |
気持ちが描写された絵本の読み聞かせを繰り返し行うことで、幼児の遊びにどのような変化が生じるのか保育実践を通した調査を行う。とりわけ実行機能および感情理解に難しさがあると教師が評価した幼児をターゲットとし、絵本の繰り返し読みの効果を検討する。 また、2021年度調査において実行機能に困難さと平仮名の読みの困難さとの関連性が示唆されたことから、実行機能に困難さをもつ幼児は気持ちが描写された絵本を読むことが難しいことが推察される。そこで、実行機能に困難さをもつ5歳児に対するひらがな読みの発達支援について検討する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナウイルス感染症の感染拡大により保育現場での機材を使用した調査が出来なかったため次年度使用額が発生した。2022年度は新たな絵本動画作成費、視線調査物品費、分析アルバイトの人件費、教師評定アンケートの実施費用およびデータ入力等の人件費として使用する予定である。
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