研究課題/領域番号 |
19K03252
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研究機関 | 筑波技術大学 |
研究代表者 |
佐々木 惠美 筑波技術大学, 保健科学部, 客員研究員 (70251056)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 視覚障害 / 聴覚障害 / 大学生 / メンタルヘルス / 自殺予防 / 自殺予防教育 / スクリーニング / 発達障害 |
研究実績の概要 |
申請者が筑波技術大学保健管理センター精神科在任中に対応した9年間の統計をもとに、視覚障害学生のメンタルヘルスについて後方視的に調査した。また、自殺予防の観点から希死念慮や自殺企図について着目し、自殺関連行動について調査を行った。本学では学生全員が障害を持っておりピアサポートの場になっていること、学内高層階の施錠等の物理的対策、新入生へのメンタルヘルスの講義、健康診断時のスクリーニング面接による早期発見・早期介入、教職員の熱心な見守り等が、自殺予防に有効であったと考えられる。昨年度も自殺既遂者は0であった。 コロナ禍の中で、大学生の自殺が増加している(国立大学保健管理施設協議会の報告)。オンライン授業が多く、友人や先輩とのつながりも持てず、オンライン授業の課題に追われ、孤独を深めているといわれている。幸い本学では寮生活の学生が多く互いにサポートし合う環境にはあるが、昨年度は「実技が習得しずらい」「対面授業じゃないと意欲が出ない」「オンラインはPCが苦手だしストレス」といった学生の声が聞かれた。また、「透明なアクリル板がわかりにくく、ぶつかってしまう」「消毒液の位置がわかりづらい」といった視覚障害特有の悩みも認めた。 昨年度のメンタルヘルスの講義(対面)の中で自殺予防について取り上げた。自殺の背景や心理・自殺のサイン・基本的対応・ゲートキーパーについて、詳しく伝えた。また、アルコール依存や若者に多い市販薬依存についても取り上げた。今年度も継続して授業を行う予定である。また、コロナ禍のメンタルヘルスについての動画を、教職員等に提供した。 昨年度の健康診断時の呼び出し面接では、見守りが必要な学生は複数いたが、医療につなげる必要のある学生は少数であった。今年度もスクリーニングを用い、高得点者はカウンセラーと分担して健康診断時に対面で面接を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
昨年度は、健康診断時に呼び出し面接を、限定的ではあるが対面で行うことができた。ほとんどの授業はオンラインであったが、メンタルヘルスの講義は対面で行った。しかし、感染対策のため十分に対面での面接を継続すること、調査を行うことが困難であった。
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今後の研究の推進方策 |
・健康診断時に、スクリーニング高得点の学生と面談を行う。カウンセラーと分担をするが、特に医学的かかわりが必要と思われる学生は医師とカウンセラー両者で面接を行う。 ・メンタルヘルスの授業は対面で行う。学生に多い精神疾患、ゲートキーパ、依存症等について講義を行う予定である。 ・教職員向けに、学生のメンタルヘルスや自殺予防についてのレクチャーまたはパンフレットを作成し、啓蒙を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
感染症対策のため、調査・研究が困難であった。今年度、教職員や学生向けのメンタルヘルスに関するパンフレット・動画の作成、自殺予防学会誌等への投稿等を行う予定である。
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