研究課題/領域番号 |
19K03253
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研究機関 | 東京学芸大学 |
研究代表者 |
犬塚 美輪 東京学芸大学, 教育学部, 准教授 (50572880)
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研究分担者 |
田中 優子 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (30701495)
藤本 和則 近畿大学, 経営学部, 教授 (80424993)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | デジタルメディア / ディスコース理解 / 批判的思考 / 情報の信頼性 / 視覚的強調効果 |
研究実績の概要 |
本研究では,信頼性の低い情報が多様なデジタル表現で提示されたときに,人がその情報をどのように理解するかを検討し,モデル化と教育への提言を目指す。 20年度は,まず,19年度に実施した予備実験の成果について学会発表を行った.広告文に示された差の大きさを判断する課題において,グラフ表現が伴う場合に差を大きく評価する傾向があることや,認知反省テストの得点や学歴が高いほど差を小さく評価することを示した.この結果から,視覚的強調表現の影響が確認され,デジタル時代のディスコースの理解・態度形成において重要な要素となっていることが確認された.また,教育課程において数値評価や批判的思考の経験がなされることにより,理解や態度形成が影響を受けることが示唆された. 次に,デジタル時代のディスコースの特徴として多様な他者の意見提示について検討することを計画していたが,新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受け,実験の実施が困難となった.そのため,①Web実験により適した形での実験題材の準備と関連する文献調査,および,②教育課程における数値評価や批判的思考の指導実態についての調査を行う方向に方針を変更した.①を経てWeb実験を実施する準備をおおむね整えることができた。また,②の調査から,1990年代後半から「インターネット・リテラシー」に対する注目が高まりその教育が提案され,批判的思考を重視したリテラシー教育がなされるようになったものの,多くがマスメディアの発信を「疑う」ことを中心とした設計になっており,デジタル時代のディスコースの特徴を十分に踏まえているとは言えないことが分かった。2010年以降欧米を中心にリテラシー教育が検討されているが,多様な他者の発信という特徴を踏まえ,スマートフォンなどのデバイスを用いた短時間の情報収集のプロセスを前提としたリテラシー教育は以前として課題であることが分かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
新型コロナウイルスの感染拡大のため,実験や調査が実施できなかったため。
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今後の研究の推進方策 |
2021年度はWebでの実験・調査を実行するとともに,文献調査・実態調査について得られた知見をまとめる。これらの結果をもとに,モデル化とカリキュラム提案に関わる研究計画をすすめる。
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次年度使用額が生じた理由 |
Web調査・実験の実施が遅れたため,そのための経費が使用されなかった。また,対面での打合せが実施できなかったこと,各学会が中止・オンライン開催となったために旅費が使用されなかったことにより残額が生じた。残額は,21年度に実施を計画している実験と併せて20年度に実施できなかった実験を実施することと,得られた知見をまとめ投稿する準備のための経費として使用する。
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