研究課題/領域番号 |
19K03255
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
中谷 素之 名古屋大学, 教育発達科学研究科, 教授 (60303575)
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研究分担者 |
梅本 貴豊 京都外国語大学, 外国語学部, 准教授 (50742798)
伊藤 崇達 九州大学, 人間環境学研究院, 准教授 (70321148)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 多文化共生 / 教室環境 / 外国ルーツ児童 / 教師 / 児童 |
研究実績の概要 |
近年、わが国の外国人労働者数増加に伴い、教室における外国にルーツをもつ児童・生徒の数は急激に上昇している。クラスに複数の外国ルーツの児童・生徒がいることもまれではなく、教室の多文化化が大きく広がっている現状である。 これまでの教育心理学研究においては、学級集団に関する研究や教室の対人関係に関するテーマが扱われてきているものの、多文化化する教室環境を踏まえて、児童・生徒がどのように教室における相互作用や学習行動を行っているかに関する視点はほとんどみられなかった。 本研究課題では、多文化化する教室において、どのような集団づくりや教室環境づくりが行われているかという問題に注目する。教室において、わが国の児童が自国とは異なる文化や価値観に対して、どのように考え、向き合っているのか、そしてどのような相互作用を行っているかについて、学習動機づけ研究、学習方略研究を基に検討を行う。 今年度の研究成果のひとつとして、日本学校心理学会第23回福岡大会において、理事会企画シンポジウム『外国人児童における日本の学校生活を考える』において、本研究成果の一部を含め、話題提供を行った。わが国において、外国人児童の学校生活・学校適応をメインとした、これまでに数少ない学会企画であり、教育心理学研究の立場から、教室環境を含む多文化化する児童の学習や適応の問題を議論した。 研究内容として、昨年2020年度末、学校教育におけるコロナ禍の影響も踏まえ、2019年度と2020年度の学級風土や教室環境について、全国の教員に対してオンライン調査を実施したデータの整理分析をていねいに進めている。また2019年度までの学校調査の結果も踏まえて、多角的に検討し、知見を見出しつつある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
これまでに収集している小学校での縦断調査や、全国の教員を対象としたオンライン調査のデータは、本課題遂行のうえで中核となるものであり、順調にデータを収集し、分析、検討を進めている。しかし、想像以上に長引くコロナ禍の影響により、その後の教員へのインタビュー調査は、感染対策や学校運営に苦慮する協力校に対して負担が大きいものであり、調査の実施が困難となっている。これまでの児童および教師による質問紙データおよび自由記述データを、精緻に吟味・検討し、そこでの意義・課題を今年度の調査計画に反映させ、実施することを見通している。
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題の今後の研究の推進方策について、根本的な変更はなく、今後は比較文化的視点から、調査実施を行うことを予定している。2022年度においては、北米圏の学校教員を対象としたオンライン調査を計画し、これまでに得られたわが国の教員・教室の調査データとの比較検討を通じて、新たな知見を見出すことを計画している。
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次年度使用額が生じた理由 |
2021年度、コロナ禍により実施が困難であった学校での教員調査に関して、繰越にて2022年度に研究を実施する予定である。特に北米圏での教師調査を行い、わが国の教室環境のデータとの比較検討を行う。
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