研究課題/領域番号 |
19K03262
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研究機関 | 尚絅学院大学 |
研究代表者 |
小泉 嘉子 尚絅学院大学, 総合人間科学系, 教授 (80447119)
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研究分担者 |
飯島 典子 宮城教育大学, 教育学部, 准教授 (40581351)
池田 和浩 尚絅学院大学, 総合人間科学系, 准教授 (40560587)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | モダリティ表現 / ポライトネス / 情報のなわばり |
研究実績の概要 |
申請者は、「あいまいな表現をあいまいなまま理解する」といったあいまい性の理解を必要とする認識のモダリティ表現に着目し、これらの認識のモダリティ表現の持つあいまい性がどのように理解されるようになるのかといった発達的視点から、語彙の理解の問題にアプローチすることを試み、言語発達のアセスメントツールとしての「あいまい性理解課題」の開発を目指している。そこで本申請では、アセスメントツール開発のための基礎データとして、あいまい性の理解の発達課程を明らかにするために、幼児・児童を対象にあいまい性の理解の発達について調査し、3つのメタ言語的理解(モダリティ表現によるあいまいさ理解、メタ言語的理解(a.発話者の特性に関するなわばりの理解、b.メタ知識に関する情報のなわばりの理解)、c.ポライトネス(配慮)表現の理解)がいつ頃から獲得され、これらの理解がどのようにあいまい性理解に影響を与えているかについて明らかにすることを目的としている。 2019年度終わり頃から現在まで、コロナ感染症により、当初計画していた調査を小学校、中学校等で行うことができない状況となった。そこで、2020年度はコロナ禍で可能な調査方法について検討し、研究計画を大幅に見直すことにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
尚絅学院大学共同研究「言語的攻撃行動に影響を及ぼす要因の日中比較」(川端・小泉・桂・李・王、2021)において日中の大学生を対象に5つのポライトネス要因(①相手との社会的距離(親密度・親近感)、②相手の社会的地位、③負荷量(自分の行動が相手に与える負担)、④相手への配慮行動)が言語的攻撃行動に及ぼす影響について検討している。その結果、日本人・中国人ともに、親密度と負荷量の高さは言語攻撃性を高め、相手への配慮行動は言語攻撃性を抑えることが明らかとなっている。これらのことから、5つのポライトネス要因の理解が配慮表現の選択(配慮行動)に影響していることが示唆されており、本研究において5つのポライトネス要因の理解に基づいた配慮表現の選択のメカニズムを明らかにする必要があると考えた。そこで、当初予定していた計画を追加・変更し、2021年度は5つのポライトネス要因の理解に基づいた配慮表現の選択のメカニズムを明らかにすることにした。
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今後の研究の推進方策 |
(1)2021年度:①配慮表現の理解と共感性の理解の関係について調査の分析結果をもとに、2022年度に学会発表を行う準備をする。②5つのポライトネス要因(①相手との社会的距離(親密度・親近感)、②相手の社会的地位、③負荷量(自分の行動が相手に与える負担)、④相手への配慮行動)の理解に基づいた配慮表現の選択のメカニズムを明らかにする。 (2)2022年度:2021年度に見直した5つのポライトネス要因(①相手との社会的距離(親密度・親近感)、②相手の社会的地位、③負荷量(自分の行動が相手に与える負担)、④相手への配慮行動)、a.発話者の特性に関するなわばりの理解と、b.メタ知識に関する情報のなわばり理解がいつ頃から可能になるのかについて、幼児・児童を対象としたクリッカーを使った実験調査の準備を行い、幼稚園・小学校などの協力を得ながら調査を行う。 (3)2023年度以降:2022年度までの調査を元に、これらの調査結果をもとに言語発達のアセスメントツールとしての「あいまい性理解課題」の開発を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
2020年度に2つの学会(日本心理学会・教育心理学会)で発表予定であり、そのための学会費用として出金する予定だったが、今回は見送ったため。
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