研究課題/領域番号 |
19K03265
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研究機関 | 聖徳大学 |
研究代表者 |
小野瀬 雅人 聖徳大学, 教育学部, 教授 (40224290)
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研究分担者 |
松田 浩 長崎大学, 工学研究科, 教授 (20157324)
鈴木 慶子 長崎大学, 教育学部, 教授 (40264189)
藤本 朋美 南九州大学, 人間発達学部, 准教授 (50782190)
久保田 健夫 聖徳大学, 児童学部, 教授 (70293511) [辞退]
千々岩 弘一 鹿児島国際大学, 福祉社会学部, 特任教授 (90163724)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 書字 / 筆記姿勢 / 筆記具の持ち方 / 執筆法 / 学習指導 |
研究実績の概要 |
本研究は、学習時にまで波及している子どもの身体の「おかしさ」を改善するため、学齢期の者を対象として、オープンポーズ(カーネギ―メロン大学開発AI)を活用した、身体関節及びその動きを可視化した装置(モバイル型姿勢測定装置)を開発し、それを活用して、学習時の快適な姿勢・執筆法を提案することを目的として行ってきた。 初年度(令和元年)に装置の開発を行い、それを用いた個別実験を令和2年度~3年度に実施する計画であったが、新型コロナウィルス感染拡大の影響により実験を中断した。令和4年度から大学の対面授業が再開したため、大学生32名を対象として、筆記具の持ち方とその際の筆記姿勢の関連についてモバイル型姿勢測定装置(以下姿勢測定装置)を用いて個別実験を行った。大学生32名を対象とした個別実験では、まず、各自が通常行っている筆記具の持ち方・姿勢で自分の氏名を書くよう求め、その際の筆記姿勢を測定した(通常の持ち方・姿勢条件:条件1)。続いて、硬筆書写の教科書にある「筆記の正しい姿勢」の写真を掲示し、「正しい姿勢」で、通常行っている筆記具の持ち方で自分の氏名を数回書くよう求め、その際の筆記姿勢を測定した(通常の持ち方、正しい姿勢条件:条件2)。結果の分析には、筆記姿勢の変化が現れやすい頭部の位置とした。姿勢測定装置の頭部の座標(x、y、z)の測定値を位置条件1と条件2の差を算出し、32名の筆記具の持ち方別に比較した。筆記具の持ち方については、小野瀬(1996)の筆記具の持ち方分類にしたがった。 その結果、書写の教科書の持ち方を標準とする持ち方をしていた大学生19名よりも、標準以外の持ち方をしていた大学生13名のほうがy軸、z軸で、より差が大きい傾向がみられた。この結果から、「正しい姿勢」で書く大学生のほうがそれ以外の大学生に比べて、「正しい姿勢」で書く傾向があることがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
令和4年度は、50名の大学生を対象とした個別実験、小学生50名を対象とした個別実験を実施する計画であった。しかしながら、新型コロナ感染症の感染拡大の影響で大学生の対面授業がたびたび中断したため、当初予定の6割の対象者数で留まった。また、小学校を対象とする個別実験については新型コロナ感染症対策で学校が多忙であることを理由に進めることができなかった。学校外教育施設(学習塾等)で被験者を募ることも必要であると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
令和5年度は5月8日から新型コロナ感染症の厚生労働省による分類がインフルエンザ等と同様の5類に変更になったことから、令和2年以前の状況に戻りつつある。そこで、当初の目的を達成するため、大学生を18名追加し、実験を実施する。また小学校児童についても筆記具の持ち方が定着した3,4年生を中心に個別実験を実施する予定である。また、中学生、高校生についても、可能な限り、個別実験データの集積を進めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ感染症の影響により、大学以外の学校での個別実験ができなかったこと、研究推進のための会議の開催ができなかったことのため、旅費の使用がなかった。次年度は研究分担者間の情報交流、及び実験データの結果の分析・考察のための対面会議回数を増やし、成果のまとめを効率よく進めていく。なお、次年度は、幼稚園や小・中・高等学校への訪問実験の効率化のため、ノートPCの購入も予定している。
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